認知症グループホームの月額費用と入居条件:補足給付対象外・特養との違い・選び方

認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、少人数での共同生活の中で認知症の方が日常生活のサポートを受けながら暮らす施設だ。特別養護老人ホームより待機が少なく、比較的入居しやすいとされるが、費用は施設によって大きく異なる。グループホームの費用の仕組み・入居条件・選び方を整理した。

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グループホームの入居条件

認知症グループホームの入居条件を整理した(介護保険法第8条第20項)。

  • 要支援2または要介護1以上の認定を受けていること:認知症グループホームは介護保険サービスのため、要介護認定が必要だ。要支援2からの入居も可能(「介護予防認知症対応型共同生活介護」の対象)
  • 医師の診断書等で認知症と診断されていること:グループホームは「認知症高齢者」を対象としており、認知症の診断があることが入居の前提となる
  • 施設と同じ市区町村に住民票があること:グループホームは「地域密着型サービス」のため、原則として施設と同じ市区町村に住民票がある方が対象だ
  • 集団生活が可能な状態であること:感染症があったり、暴力行為が激しかったりする場合は入居を断られることがある(各施設の判断による)

グループホームの費用の内訳

グループホームの費用は「介護保険の自己負担」「居室料(賃料相当)」「食費」「日常生活費」の合計だ。有料老人ホームとは異なり「入居一時金(前払い金)」がない施設が多い(近年は一時金を設定する施設も増えている)。

月額費用の目安(要介護2・首都圏の場合):

  • 介護保険自己負担(要介護2・1割):月約2.5〜3.5万円
  • 居室料(家賃相当):月5〜10万円程度(施設によって大幅に異なる)
  • 食費:月4〜6万円程度
  • 管理費・共益費:月1〜2万円程度
  • 日常生活費(理美容・レクリエーション等):月1〜2万円程度
  • 合計:月13〜23万円程度(首都圏)。地方では月10〜18万円程度と安い傾向がある

グループホームの「費用の変動要因」

グループホームの月額費用が施設によって大きく異なる理由を整理した。

  • 立地(地域):首都圏と地方では家賃相当の居室料が大幅に異なる。首都圏では居室料が月10万円程度になる施設もあるが、地方では3〜5万円程度の施設もある
  • 建物の新しさ・設備:新しい施設・設備が充実した施設は費用が高め。バリアフリー・個浴(個人用浴室)・レクリエーション施設等が充実している
  • 介護体制の手厚さ:スタッフの配置基準より多い「手厚いケア体制」をとっている施設は費用が高い代わりに、より細かい対応を期待できる
  • サービスの充実度:外出・レクリエーション・リハビリ等のサービスの充実度によっても費用が変わる

グループホームは「補足給付」の対象外

特養では低所得者向けの「補足給付(特定入所者介護サービス費)」が食費・居住費を軽減するが、グループホームは補足給付の対象外だ(介護保険法第51条の3は特養・老健・介護医療院が対象)。

低所得者がグループホームを利用する場合の軽減措置:

  • 社会福祉法人等による軽減制度(社会福祉法第24条の2):社会福祉法人が運営するグループホームでは、低所得者に対して利用料の一部を軽減する制度が義務付けられている。軽減を受けるには市区町村への申請が必要だ
  • 生活保護の「介護扶助」:生活保護受給者のグループホーム利用費は「介護扶助」として支給される。ただし施設が生活保護の指定施設でなければならない

グループホームと特養の違い

特別養護老人ホームとグループホームの主な違いを整理した。

  • 入居のしやすさ:特養は全国的に待機者が多い(平均待機期間は数か月〜数年)。グループホームは施設ごとに異なるが、比較的入居しやすい施設が多い
  • 費用:特養は補足給付があるため低所得者は費用を抑えやすい。グループホームは補足給付がないため低所得者には割高になりやすい
  • 介護体制:特養はより重度な身体介護に対応できる。グループホームは少人数(1ユニット9人以下)で認知症に特化したケアを提供する
  • 要介護度が上がった場合:グループホームは重度の身体介護(胃ろう・経管栄養等)が必要になった段階で退居を求められる場合がある。特養は終身まで対応できる施設が多い

グループホームの選び方のポイント

グループホームを選ぶ際のチェックポイントを整理した。

  • 施設の運営主体の確認:社会福祉法人・医療法人・株式会社等が運営している。社会福祉法人・医療法人は低所得者向け軽減や医療連携が充実していることが多い
  • スタッフの認知症ケアの専門性:スタッフの認知症ケアの経験・研修の受講状況を見学時に確認する。「認知症ケア専門士」「介護福祉士」等の資格保有者の割合も参考になる
  • 医療機関との連携:近隣の医療機関(かかりつけ医・病院)との連携状況を確認する。グループホームに医療的対応ができるスタッフがいない施設では、急な体調変化への対応が遅れることがある
  • 「介護サービス情報公表システム」の活用:厚生労働省が運営する「介護サービス情報公表システム」でグループホームのスタッフ数・設備・利用状況等の情報を事前に確認できる

「夜間の体制」は必ず確認する

グループホームで家族が見落としがちなのが「夜間のスタッフ体制」だ。

法律では「夜間の最低基準」として「1ユニット(9人以下)につき夜間は1名以上のスタッフ配置」が義務付けられている(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準)。しかし1名では認知症の複数の入居者に対応することは難しい場合がある。夜間の緊急時にどのように対応しているかを見学時に確認することが重要だ。

グループホームと「有料老人ホーム(特定施設)」の違い

認知症高齢者が入居できる施設として、グループホーム以外に「介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)」がある。両者の主な違いを整理した。

  • 要介護度の制限:グループホームは要支援2〜要介護5が対象。有料老人ホーム(特定施設)は要介護1以上が一般的(施設によって異なる)。グループホームの方が軽度の段階から入居しやすい
  • 「認知症の専門性」の違い:グループホームは認知症高齢者専門の施設であり、少人数での生活環境・認知症ケアに特化している。有料老人ホームでは認知症以外の要介護者も混在することが多い
  • 費用の違い:グループホームは月13〜23万円程度(首都圏)。介護付き有料老人ホームは月20〜40万円程度(施設によって大幅に異なる)。グループホームの方が全体的に安い傾向がある
  • 入居一時金の有無:グループホームは入居一時金なしが多い(近年は一時金を設定する施設も増加)。有料老人ホームは数百万〜数千万円の入居一時金を求める施設がある

グループホームへの移行を考えるタイミング

在宅介護からグループホームへの移行を考える目安のタイミングを整理した。

  • 徘徊・行方不明のリスクが高まった:自宅から外出して行方不明になるリスクが高まっている場合は、24時間見守りができるグループホームへの移行が安全上の理由で検討される
  • 在宅サービスでは介護が追いつかなくなった:デイサービス・訪問介護等の在宅サービスをフルに使っても家族の介護負担が重い場合
  • 独居で日中の安全確保が難しくなった:本人が一人で過ごす時間に火の不始末・転倒・薬の飲み忘れ等のリスクが高まっている場合
  • 要介護2以上になって特養を申し込み待ちの間:特養の待機期間中の「つなぎ」としてグループホームを選択することも多い

グループホーム入居後に要介護度が上がった場合

グループホームに入居後、認知症が進んで要介護度が上がった場合の対応を整理した。

  • グループホームでの継続ケアが可能な場合:グループホームは要支援2〜要介護5まで対応しており、介護度が上がっても基本的には継続して入居できる
  • 医療的ケアが必要になった場合:胃ろう・経管栄養・気管切開等の医療的ケアが必要になった場合は、グループホームでの対応が困難になることが多い。医療対応ができる老人保健施設・介護医療院・病院への転院が必要になることがある。入居前に「どの段階でグループホームを退居する可能性があるか」を施設に確認しておくことが重要だ
  • 特養の申し込みを続ける:グループホームに入居後も、特養の申し込みを取り下げないことが重要だ。特養の入居枠が空いて連絡があった時点で移行を検討できるようにしておく

この記事のまとめ

  • グループホームの入居条件:要支援2以上の認定・認知症の診断・施設と同じ市区町村の住民票(地域密着型サービス)
  • 月額費用:13〜23万円程度(首都圏)。介護保険自己負担+居室料+食費+管理費+日常生活費の合計
  • グループホームは補足給付の対象外。低所得者は「社会福祉法人の軽減制度(社会福祉法第24条の2)」「生活保護の介護扶助」を検討する
  • 特養と比べて「入居しやすい反面・補足給付がない・重度身体介護で退居になる可能性がある」という点が違い
  • 選び方のポイント:運営主体の確認・認知症ケアの専門性・医療連携・夜間のスタッフ体制(1ユニット9人以下につき1名以上が最低基準)
  • 医療的ケアが必要になった場合は退居を求められる可能性がある。入居前に「どの状態で退居が必要になるか」を施設に確認する
  • 特養申し込みを並行して維持する:グループホーム入居後も特養の申し込みを取り下げないことで、特養に空きが出た際にすぐ移行できる
  • 相談先:ケアマネジャー・地域包括支援センター・市区町村の介護保険担当窓口・介護サービス情報公表システム(厚生労働省)

出典:介護保険法第8条第20項(認知症対応型共同生活介護の定義)・第51条の3(補足給付)、社会福祉法第24条の2(社会福祉法人の軽減制度)、指定地域密着型サービスの事業の人員・設備及び運営に関する基準(夜間のスタッフ配置)

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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