粉末消火設備の蓄圧式と加圧式の違い。構造と選択の基準。

粉末消火設備には「蓄圧式」と「加圧式」の2種類があります。蓄圧式は薬剤を貯蔵するタンク内に窒素ガスで常時加圧して保管し、放出時に容器弁を開けると圧力で薬剤が押し出されます。加圧式は薬剤タンクを常圧で保管し、放出時に別の加圧用ガス容器を開放して薬剤タンクを加圧する仕組みです。甲3試験では構造・機器の種類・動作の違いが出題されます。

この記事では、蓄圧式と加圧式の構造の違い・それぞれの機器構成・特徴を整理します。

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蓄圧式と加圧式の基本的な違い

比較項目 蓄圧式 加圧式
薬剤タンクの状態 窒素ガスで常時加圧されている 常圧(大気圧)で保管されている
放出の仕組み 容器弁を開けると内部圧力で薬剤が押し出される 加圧用ガス容器を開放して薬剤タンクを加圧し、薬剤を押し出す
加圧用ガス容器 不要(タンク内に封入済み) 必要(別途設置する)
構造の複雑さ 比較的単純 やや複雑(加圧用配管・弁が追加)
薬剤量の適用範囲 比較的小規模な設備に適している 大規模な設備でも対応できる

蓄圧式の構成機器

蓄圧式の粉末消火設備に使用される主な機器は次のとおりです。

  • 蓄圧式薬剤タンク:粉末薬剤と窒素ガス(加圧ガス)を一緒に封入した容器。圧力計付き
  • 容器弁:薬剤タンクの出口に取り付けられた弁。起動信号で開放する
  • 安全弁:タンク内圧力が設定値を超えた場合に自動的に開放する
  • 圧力計:タンク内の加圧ガスの残量を確認するための計器
  • 選択弁・配管・噴射ヘッド:ガス系消火設備共通の機器

加圧式の構成機器

加圧式には蓄圧式の機器に加えて、次の機器が追加されます。

  • 加圧用ガス容器:薬剤タンクを加圧するための窒素ガスを貯蔵した容器(別置き)
  • 加圧用ガス導管:加圧用ガス容器から薬剤タンクへガスを送る配管
  • クリーニング弁:放出後に配管内の残留薬剤を窒素ガスで押し流すための弁(放出後の配管閉塞防止)

クリーニング弁(加圧式固有の機器)

クリーニング弁は加圧式粉末消火設備に特有の機器です。粉末薬剤は放出後に配管内に残留しやすいため、薬剤放出後にクリーニング弁を通じて窒素ガスを流して配管を清掃します。

  • クリーニング弁がないと、放出後に配管内で粉末薬剤が固まり、次回の放出に支障が生じる可能性がある
  • クリーニング弁の開放タイミングは薬剤放出完了後
  • 甲3試験ではクリーニング弁が「加圧式固有の機器」として出題されることがある

どちらを選ぶか

蓄圧式と加圧式の選択は主に設備規模と用途によって決まります。

  • 蓄圧式:小規模設備・整備が簡単な設備に適している。構造が単純なため故障リスクが低い
  • 加圧式:大規模設備・薬剤量が多い設備に対応できる。クリーニング機能がある

試験の出題ポイント

  • 「粉末消火設備で加圧式固有の機器(蓄圧式にない機器)はどれか」→ 答え:加圧用ガス容器・クリーニング弁
  • 「蓄圧式の薬剤タンクに圧力計を設ける理由は何か」→ 答え:加圧ガス(窒素)の残量を確認するため
  • 「クリーニング弁の役割は何か」→ 答え:薬剤放出後に窒素ガスで配管内の残留薬剤を押し流し、配管閉塞を防ぐ
  • 「加圧式では薬剤タンクは放出前にどのような状態か」→ 答え:常圧(大気圧)で保管されている

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出典:消防法施行規則第20条(粉末消火設備に関する基準)・消防庁告示(粉末消火設備の設置に係る技術上の基準)。
作成日:2026年11月5日

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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