乙6(消火器)と乙7(漏電火災警報器)の違いは、担当できる設備・試験の難易度・合格率の3点です。乙6の合格率は約35〜40%、乙7は約60〜65%と乙7のほうが高く、乙7の難易度は乙種の中で最も低い部類に入ります。
どちらを先に取るかは、担当したい仕事の内容・現在持っている他の資格によって判断が変わります。この記事では乙6と乙7の違いを比較し、先に取るべきほうの見分け方を整理します。
乙6と乙7の基本的な違い
| 項目 | 乙6 | 乙7 |
|---|---|---|
| 対象設備 | 消火器 | 漏電火災警報器 |
| 設備の分類 | 消火設備(機械系) | 警報設備(電気系) |
| 業務独占の根拠 | 消防法第17条の5 | 消防法第17条の5 |
| 試験の基礎知識科目 | 機械に関する部分 | 電気に関する部分 |
| 合格率(直近の公式発表) | 約35〜40% | 約60〜65% |
| 受験資格 | なし | なし(乙種) |
| 電工・電験による科目免除 | なし(電気系科目がないため) | 電気に関する部分が免除 |
出典:消防庁「消防白書」(令和5年度)・消防試験研究センター「試験科目及び問題数一覧」(2026年10月確認)
合格率の差の理由
乙7の合格率が高い主な理由は2つあります。
第一に、乙7の試験には「電気に関する部分」が含まれるため、第二種電気工事士や電気主任技術者(電験3種等)を持つ受験者がその科目の免除を受けられます(消防法施行規則第33条の11第2項・第3項)。免除を受けた受験者は試験範囲が狭くなるため、合格率が上がる傾向があります。
第二に、乙7の試験に出題される「漏電火災警報器」は設備の種類が少なく、試験範囲が乙6より限られています。構造・機能・整備で覚えるべき設備の数が少ないため、準備量が乙6より少なく済みます。
乙6は電気系の免除が使えず、消火器の種類・構造・規格省令を一通り学ぶ必要があるため、乙7より準備量が多くなります。
担当できる仕事の違い
乙6が必要な仕事
乙6の業務独占は消火器の整備・点検です(消防法第17条の5)。消防設備士でない者が消火器の整備・点検を行うと消防法違反になります。
消火器は消防法施行令第10条に基づき、延べ面積150㎡以上の建物(飲食店・事務所等)や地階・無窓階・3階以上の場合などに設置義務があります。設置数が非常に多い設備のため、乙6の資格者は消防設備保守業・ビル管理業で常時需要があります。
乙7が必要な仕事
乙7の業務独占は漏電火災警報器の整備・点検です。漏電火災警報器は消防法施行令第22条が設置義務を定めており、鉄網入りの壁・床・天井を有する防火対象物で、用途区分に応じた延べ面積(旅館・共同住宅等は150㎡以上、飲食店・事務所等は300㎡以上、学校・図書館等は500㎡以上など)の条件を満たすものに設置されます。乙6ほど設置数は多くありませんが、電気系設備の担当者として乙7を求める求人は存在します。
どちらを先に取るかの判断基準
電工・電験を持っている場合は乙7が効率的
第一種・第二種電気工事士または電気主任技術者(電験3種・2種・1種)を持っている場合、乙7の「電気に関する部分」が免除されます。免除を活かして短期間で取れる乙7を先に取るのは効率的な選択です。
その後乙6を取得すれば、乙7取得により「消防関係法令(共通)6問」も免除できます(消防法施行規則第33条の11第4項第1号)。
電工・電験を持っていない場合は乙6が選ばれやすい
電工・電験を持っていない場合、乙6と乙7の試験条件は「どちらも全科目を対策する必要がある」という点で同じです。乙7のほうが試験範囲が狭い分は有利ですが、合格率が高い=簡単ではなく、電気系の基礎知識が必要という点で電気に慣れていない人には乙7が難しく感じる場合もあります。
消防設備士の資格を「仕事で使う」目的で取る場合、消火器の需要のほうが漏電火災警報器より圧倒的に多いため、就職・転職・現職での活用を考えると乙6を先に取る人が多い実情があります。
乙4と組み合わせる場合は乙6→乙4の順が定番
乙6・乙7・乙4を組み合わせて取得する場合、乙6→乙4(自動火災報知設備)の順が最も一般的です。乙4は試験に電気系科目があるため、電工を持っていれば乙6取得後に電工の免除と法令共通免除の両方が使えます。
乙7は乙4と設備が近い(どちらも警報設備・電気系)ため、乙4を取得してから乙7を追加する人も多くいます。
試験勉強の比較
| 項目 | 乙6の準備 | 乙7の準備 |
|---|---|---|
| 機械の基礎知識 | 圧力・流体力学・金属の性質(必要) | 不要(電気の基礎知識が必要) |
| 電気の基礎知識 | 不要 | 電気回路・電磁誘導・漏電(必要) |
| 設備の種類 | 消火器(蓄圧式・加圧式・化学泡・強化液・CO2等) | 漏電火災警報器(1種・2級) |
| 規格省令 | 消火器の規格省令(詳細) | 漏電火災警報器の規格省令 |
| 鑑別(実技) | 消火器の部品名・操作手順 | 漏電火災警報器の部品・結線 |
乙7を持つと実際にどんな仕事ができるか
乙7の業務独占は漏電火災警報器の整備・点検です(消防法第17条の5)。漏電火災警報器は、木造または建築基準法上の防火構造の建物で延べ面積・用途が施行令第22条の条件を満たすものに設置義務があります。
漏電火災警報器が設置されている施設の例:
- 旅館・ホテル(延べ面積が一定以上)
- 飲食店・物品販売店舗(条件を満たすもの)
- 病院・福祉施設(条件を満たすもの)
消火器(乙6)ほど設置数は多くありませんが、電気系設備の点検・整備を担当する業者では乙7の需要があります。特に乙4(自動火災報知設備)と合わせて持っている担当者が漏電火災警報器も兼務するケースが多く、乙7単独で仕事を受けるというより「乙4の業務と合わせて担当する電気系設備の一つ」という位置づけが実態に近いです。
乙6・乙7・乙4を組み合わせると何ができるか
消防設備保守やビルメン職では、複数の類を組み合わせて担当できる設備の幅を広げることが評価されます。乙6・乙7・乙4の3つを持っていると担当できる設備の種類は次のようになります。
| 取得した免状 | 担当できる設備 |
|---|---|
| 乙6のみ | 消火器の整備・点検 |
| 乙6+乙4 | 消火器+自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備 |
| 乙6+乙4+乙7 | 上記+漏電火災警報器(電気系の消防設備を一通り担当) |
乙6・乙4・乙7を3つ揃えると、機械系と電気系の消防設備の点検・整備を幅広く担当できる状態になります。この3つで消防設備保守業務の大半の設備をカバーできるため、資格の組み合わせとして選ばれやすいです。
まとめ:乙6と乙7の選び方
乙6と乙7のどちらを先に取るかは、次の基準で判断してください。
- 電工・電験を持っている → 乙7から始めると科目免除が使え効率的。その後乙6を追加すると法令共通免除が使える
- 電工・電験を持っていない → 就職・転職で使いやすい乙6から始める人が多い
- 消防設備保守業・ビルメン職が目的 → 乙6のほうが求人に直結しやすい
- 電気設備の担当が目的 → 乙7→乙4の順が電気系資格との相性がよい
どちらも受験資格はなく、一度取得すれば有効期限なしに業務に使えます(定期講習の義務あり・消防法第17条の10)。仕事の目的と今持っている資格を照らし合わせて、順序を決めてください。
出典:消防庁「消防白書」(令和5年度)、消防法施行規則第33条の11(試験の免除)・第33条の11の2(合格基準)、消防法施行令第10条(消火器設置基準)・第22条(漏電火災警報器設置基準)、消防試験研究センター公式サイト(https://www.shoubo-shiken.or.jp/)(2026年10月確認)


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