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移動式クレーンには、荷の落下防止と走行制御のために複数の制動装置が設置されています。電磁ブレーキ・油圧ブレーキの違いと設置義務を理解することは、試験の頻出テーマです。
制動装置の設置義務
クレーン等安全規則第20条は、移動式クレーンの巻上装置・起伏装置・旋回装置・走行装置に制動装置の設置を義務付けています。制動装置がなければ、吊り荷が落下したり、意図しない動作が起きる危険があります。
巻上装置のブレーキ(主ブレーキ)
吊り荷を保持する最も重要なブレーキです。主に以下の2種類が使われます。
| 種類 | 特徴 | フェールセーフ |
|---|---|---|
| 電磁ブレーキ | 電力で制動を解除し、電源が切れると自動的に制動状態になる | あり(停電時も安全) |
| 油圧ブレーキ | 油圧で制動力を制御。細やかな操作が可能 | 油圧系統が正常時のみ |
電磁ブレーキは電気が切れると自動制動(フェールセーフ)のため、試験でよく問われます。「電気が切れると制動がかかる」という特性を覚えておきましょう。
制動装置の種類と用途
| 装置名 | 用途 |
|---|---|
| 電磁ブレーキ | 巻上装置の停止・保持。フェールセーフ設計 |
| 油圧ブレーキ | 巻上・起伏装置の細かな制動制御 |
| ディスクブレーキ | 制動面が平らな円盤型。放熱性が良く安定した制動力 |
| ドラムブレーキ | バンド式・シュー式。構造が単純で整備しやすい |
| 走行ブレーキ | クレーン本体の走行・移動時の速度制御と停止 |
クラッチとブレーキの違い
- クラッチ:エンジンや動力系から各装置への動力を断続する機器
- ブレーキ:動いている装置を減速・停止・保持する機器
- 移動式クレーンでは、クラッチで動力をつないでブレーキで速度・停止を制御
試験対策のポイント
- 制動装置の設置義務:クレーン等安全規則第20条
- 電磁ブレーキのフェールセーフ:電気が切れると自動制動
- 巻上装置・起伏装置・旋回装置・走行装置それぞれに制動装置が必要
- 月次自主検査(クレーン則第76条)でブレーキ・クラッチの点検が義務
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第20条・第76条・安全衛生技術試験協会
月次・年次の制動装置点検
制動装置は定期自主検査の対象です。月次点検(クレーン則第76条)では、ブレーキ・クラッチの機能を確認します。年次検査(第79条)では、より詳細な分解点検が求められます。記録は3年間保存する義務があります。
制動力の調整と管理
ブレーキの制動力が適正でない場合、次のような問題が発生します。
- 制動力不足:吊り荷が意図せず降下する「ブレーキドラッグ」「滑り」の危険
- 制動力過大:急ブレーキによる荷の振れ・ワイヤロープへの過負荷
適正な制動力の維持のため、ブレーキライニングの摩耗・油圧系統のオイル漏れ・電磁ブレーキのコイル状態を定期的に確認します。
試験でよく問われる設問例
- 「電磁ブレーキは電気が切れるとどうなるか?」→ 自動的に制動状態になる(フェールセーフ)
- 「制動装置の設置義務の根拠条文は?」→ クレーン等安全規則第20条
- 「ブレーキの月次点検義務の根拠条文は?」→ 第76条
- 「ディスクブレーキとドラムブレーキの違いは?」→ ディスクは放熱性が良く安定した制動力、ドラムは構造が単純
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第20条・第76条・安全衛生技術試験協会
制動装置の異常と対処
制動装置に異常が発生した場合、直ちに使用を停止し、点検・修理を行う必要があります。異常の兆候を早期に発見するため、作業前点検(クレーン等安全規則第78条)を毎日実施します。
電磁ブレーキの主な異常としては、コイルの断線・絶縁不良・可動部の固着などがあります。電磁ブレーキが作動しない場合は、吊り荷が突然降下する危険があります。電磁ブレーキの点検では、正常に制動・解除が切り替わるか、制動力が十分かを確認します。
油圧ブレーキの異常は、油圧系統のオイル漏れ・圧力低下・バルブの詰まりなどが原因で起こります。油圧が低下すると制動力が不足し、荷が滑降するリスクがあります。作業前には油圧計の指示値と配管の状態を確認します。
制動装置の修理・調整は、有資格者が適切な工具を使って行います。特に電磁ブレーキのエアギャップ(電磁石と可動鉄心の隙間)の調整は、製造者の指定値に合わせることが重要です。
制動装置の交換基準と安全管理
ブレーキライニング(摩擦材)は使用によって摩耗します。ライニングが摩耗限界に達する前に交換することが、制動力を維持するために重要です。製造者が定める摩耗限界値(厚さ等)を確認し、定期点検時に測定します。
電磁ブレーキのコイルは電気的な絶縁劣化や断線が起こることがあります。絶縁抵抗試験を定期的に実施し、規定値以下になったら交換します。可動鉄心(アーマチュア)とブレーキディスク間のエアギャップも重要で、規定値から外れると制動力が変化します。
油圧系統のシールやホースも経年劣化します。ゴム製シールは使用温度・油の種類により劣化が進みます。オイル漏れを発見したら直ちに使用を停止し、修理後に機能確認を行ってから作業を再開します。

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