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移動式クレーンの作業でアウトリガーを最大限に張り出すことは、法令上の原則義務です。この義務の根拠・例外条件・制限張り出し時の対応を正確に理解することが、試験対策と実務の両面で重要です。
最大限張り出しの義務(クレーン則第70条の2)
クレーン等安全規則第70条の2は、次のように定めています。
「事業者は、移動式クレーンを用いて作業を行う場合においては、移動式クレーンが転倒するおそれのない位置に設置するとともに、アウトリガーを最大限に張り出さなければならない。ただし、アウトリガーを最大限に張り出すことができない場合においては、移動式クレーンが転倒するおそれのない位置に設置するよう努めなければならない。」
つまり、原則として最大限張り出しが義務ですが、作業場所の制約がある場合は例外が認められています。
ただし書きの条件(制限張り出し)
以下のような状況では、最大限張り出しができない場合があります。
- 作業場所が狭く、アウトリガーを最大限に張り出すスペースがない
- 障害物(壁・溝・埋設物等)があってフロートを置けない
- 荷の形状・大きさにより張り出しを制限せざるを得ない場合
この場合、制限した張り出し幅に対応する定格総荷重を荷重表(定格総荷重線図)で確認し、その範囲内で作業を行う必要があります。
| 張り出し幅 | 使用する荷重 |
|---|---|
| 最大(例:6.5m) | 最大の定格総荷重を使用可 |
| 中間(例:4.0m) | 4.0m対応の定格総荷重を使用 |
| 最小(例:2.5m) | 2.5m対応の定格総荷重を使用(大幅に低下) |
地盤養生とアウトリガーセット手順
- 作業地盤の軟弱度・埋設物を確認
- 軟弱地盤の場合:敷鉄板・受台(クリブ)を設置して接地面積を拡大
- アウトリガーを左右均等に張り出す
- 水平器で車体の水平を確認
- フロートが確実に接地していることを確認
- 荷重表で定格総荷重を確認してから作業開始
試験対策のポイント
- 最大限張り出しは原則義務(クレーン則第70条の2)
- ただし書きあり:スペース制約の場合は制限張り出しが認められる
- 制限時は荷重表で対応する定格総荷重を確認してから作業
- 地盤養生(敷鉄板・受台)で接地圧を分散させる
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第70条の2・安全衛生技術試験協会
アウトリガー制限時の荷重表の読み方
アウトリガーの張り出し幅が制限される場合、荷重表で対応する定格総荷重を確認することが必須です。張り出し幅が小さいほど定格総荷重は大幅に低下するため、過負荷にならないよう注意が必要です。
荷重表には通常、ジブ傾斜角・作業半径・アウトリガー張り出し幅の組み合わせで定格総荷重が記載されています。張り出し幅の列を確認し、制限値に対応する定格総荷重の中からさらにジブ傾斜角・作業半径に合った値を選びます。
アウトリガーのフロートとサドル
アウトリガーの先端にはフロート(接地板)が取り付けられています。フロートの面積を増やすことで接地圧が分散され、地盤への沈下を防止します。
- 敷鉄板:フロートの下に敷く鉄製の板。接地面積を広げる
- 受台(クリブ):木材や鉄製の架台。敷鉄板をさらに支える
- フロートの沈下確認:作業中に定期的に目視確認する
試験でよく問われる設問例
- 「アウトリガーを最大限に張り出さなければならない根拠条文は?」→ クレーン等安全規則第70条の2
- 「最大限に張り出せない場合の対処法は?」→ 制限張り出し幅に対応した定格総荷重を荷重表で確認して使用
- 「軟弱地盤での転倒防止措置は?」→ 敷鉄板・受台を用いて接地圧を分散
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第70条の2・安全衛生技術試験協会
アウトリガーの点検と月次確認事項
アウトリガーは移動式クレーンの安定性を左右する重要な装置です。月次自主検査(クレーン等安全規則第76条)の対象であり、以下の項目を確認します。
- アウトリガーシリンダーのオイル漏れ・損傷
- フロート(接地板)の変形・損傷
- 張り出し機構のスムーズな動作
- ロックピン・ボルトの締め付け状態
- アウトリガービームの亀裂・腐食
年次自主検査(第79条)では、より詳細な分解点検が実施されます。アウトリガーの強度計算上の重要部材については、必要に応じて非破壊検査(磁粉探傷等)を行う場合もあります。
アウトリガーの格納状態での走行も重要なポイントです。アウトリガーを展開したままの移動は転倒事故の原因になります。作業終了後は必ずアウトリガーを格納し、固定状態を確認してから移動を開始します。
出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第70条の2・第76条・安全衛生技術試験協会
アウトリガー操作の禁止事項と注意点
アウトリガーの操作に関して、以下の行為は危険であり禁止されています。
- アウトリガーを展開したまま走行・移動する(転倒・損傷のリスク)
- 地盤養生なしで軟弱地盤にアウトリガーをセットする
- アウトリガーを片側だけ張り出した非対称な状態で吊り作業を行う
- フロートの沈下を確認せずに吊り作業を継続する
クレーン等安全規則第70条の2の義務は事業者に課せられていますが、実際の操作は運転者が行います。運転者は規定を正しく理解し、最大限張り出しの重要性を常に意識して作業することが求められます。

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