居宅介護支援の通院時情報連携加算は、ケアマネジャーが利用者の通院に同行し、かかりつけ医などの医師に利用者の情報を提供した場合に月1回算定できる加算です。単位数は50単位(1単位10円換算で500円)。算定要件と実務上のポイントを解説します。
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通院時情報連携加算の算定要件
通院時情報連携加算を算定するためには、次の要件をすべて満たす必要があります(令和3年度改定で新設)。
- ケアマネジャーが通院に同行すること:利用者が医療機関を受診する際に、担当ケアマネジャーが同行する(付き添う)こと
- 医師に対して情報提供を行うこと:通院先の医師に対して、利用者の日常生活の状況・介護サービスの利用状況・身体状態・生活課題等について、口頭または書面で情報提供を行うこと
- 月1回限度:同一月に複数回の通院同行があった場合でも、算定は月1回まで
「情報提供」は、医師への口頭説明や書面(様式は任意)の交付で行います。医師が利用者の生活状況を把握する上で有用な情報を提供することが趣旨です。
「通院同行」の範囲と解釈
通院時情報連携加算の「通院同行」は、医療機関への移動を含むすべての行程への同行を指します。ケアマネジャーが医療機関の診察室(または診察前のスペース)に同席した上で医師に情報提供を行うことが一般的な算定の形です。
医師への情報提供が診察室内で直接行えない場合(時間の制約・医師の都合等)でも、看護師・医師事務を通じて書面で情報提供した場合の算定の可否は、市区町村の取扱いによって異なる場合があります。事前に確認しておくことをお勧めします。
算定頻度の現実と活用の考え方
通院時情報連携加算は1件50単位(500円)と金額は小さいですが、医師との連携強化という実務的な意義があります。算定の副次的な効果として次のことが期待できます。
- 医師との信頼関係の構築:医師がケアマネジャーの情報提供を有用と感じることで、退院時・在宅移行時の連携がスムーズになる
- 利用者・家族からの信頼:通院同行という形でのサポートが、利用者・家族の満足度向上につながる
- ケアプランの精度向上:医師の診療方針・処方内容をケアプランに適切に反映できるようになる
通院に同行する機会があるすべての利用者に対して算定機会があることを意識しておき、算定漏れを防ぐ仕組みを作ることが重要です。
入院時情報連携加算との違い
通院時情報連携加算と名前が似ている入院時情報連携加算との違いは次の通りです。
| 項目 | 通院時情報連携加算 | 入院時情報連携加算 |
|---|---|---|
| 算定のタイミング | 通院(外来受診)に同行したとき | 利用者が医療機関に入院したとき |
| 単位数 | 50単位(月1回限度) | Ⅰ:250単位(入院後3日以内)/Ⅱ:200単位(4〜7日以内) |
| 算定の主体 | ケアマネジャーが通院に同行する | ケアマネジャーが入院先に情報提供(同行不要) |
| 医師への対応 | 通院先の医師に直接情報提供 | 入院先の病院スタッフ(医師・看護師等)に情報提供 |
どちらも医療機関との情報連携を促進するための加算ですが、算定のきっかけと単位数が異なります。
算定に必要な記録
通院時情報連携加算を算定した場合、次の記録を保管しておく必要があります。
- 通院同行の記録:通院した日時・医療機関名・同行したケアマネジャー名
- 情報提供の記録:提供した情報の内容(口頭の場合は概要を記録・書面の場合は写しを保管)
- 医師への確認:医師が情報提供を受けたことを確認できる記録(診療録への記載依頼・受付印等があると望ましい)
実地指導では、算定月と同行記録の整合性が確認されます。同行記録がない状態で算定すると返還対象になるリスクがあります。
通院時情報連携加算の業務設計上のポイント
担当件数が多い事業所では、すべての利用者の通院に同行することは現実的ではありません。通院同行を効果的に行うための業務設計のポイントは次の通りです。
- 優先順位をつける:医師への情報提供が特に重要な利用者(病状が不安定・医療依存度が高い・退院直後等)を優先して同行する
- 通院スケジュールの把握:担当利用者の定期通院日を把握し、月次のスケジュール管理に組み込む
- 情報提供の様式を準備する:医師に渡す情報提供書の様式(利用者の生活状況・介護サービス利用状況・ケアマネジャーからの相談事項)をあらかじめ作成しておく
他の加算との比較:医療連携を強化する加算の全体像
居宅介護支援で医療連携に関連する加算は複数あります。どの加算が事業所の実情に合うかを整理しておくことが重要です。
- 通院時情報連携加算(50単位):外来通院への同行と医師への情報提供。月1回。
- 入院時情報連携加算(Ⅰ:250単位/Ⅱ:200単位):入院時の情報提供。入院から3日以内か4〜7日以内かで単位数が変わる。
- 退院・退所加算(最大900単位):退院・退所後に居宅サービス計画を作成する際に算定。カンファレンスへの参加回数で単位数が変わる。
- 緊急時等居宅カンファレンス加算(200単位・月2回限度):医療機関の求めで緊急のカンファレンスを行った場合。
これらの加算を積極的に算定することで、事業所の月次収入を増やすだけでなく、医療機関との信頼関係が強化され、退院患者の紹介増加にもつながります。
通院時情報連携加算の算定頻度と事業所の収入への影響
通院時情報連携加算は1件50単位と単位数が小さいですが、算定できる機会は利用者数と通院頻度によって異なります。担当件数が多い事業所での算定頻度を考えると、年間を通じてまとまった収入になります。
| 月平均算定件数 | 月次収入目安 | 年間収入目安 |
|---|---|---|
| 月5件 | 2,500円 | 約30,000円 |
| 月10件 | 5,000円 | 約60,000円 |
| 月20件 | 10,000円 | 約120,000円 |
担当件数35〜40件の事業所で医療依存度が高い利用者が多い場合、月10〜15件程度の算定が見込めます。通院時情報連携加算単体での収入は大きくないですが、退院・退所加算(450〜900単位)や入院時情報連携加算(200〜250単位)などの医療連携加算と組み合わせることで、医療連携に積極的な事業所としての収入体制を作れます。
医師との連携を実務で活かすためのポイント
通院時情報連携加算は、単に加算を算定するためではなく、医師との継続的な情報共有の仕組みを作ることに本来の意義があります。実務でこの加算を活用するための具体的なポイントは次の通りです。
- 情報提供書の標準様式を事業所で作成する:毎回一から情報提供書を作るのは手間がかかります。「利用者の日常生活の状況」「介護サービスの利用状況」「ケアマネジャーとして医師に伝えたいこと・確認したいこと」の3パートに分けた簡易様式を事前に作成しておくことで、通院同行の準備時間を短縮できます。
- 医師に有用な情報を届ける意識を持つ:「先生が知りたい情報は何か」を考えて情報提供書を作ることが重要です。投薬効果の生活上の変化・ADLの変化・家族の介護状況・本人の意思決定能力の変化などは、診察室では把握しにくい情報です。これを整理して提供することで、医師にとっても価値のある情報交換ができます。
- 同行記録を業務日誌に組み込む:通院同行の日時・同行先・情報提供の内容・医師からの指示・助言を業務日誌に記録する習慣を作ることで、実地指導への対応と業務の継続性を同時に確保できます。
通院時情報連携加算の算定上の注意点まとめ
通院時情報連携加算の算定で見落としやすい注意点を最後に整理します。
- 月1回限度:同一利用者について同じ月に複数回通院に同行しても、算定は月1回が上限。
- 「同行」が必要:電話での情報提供や書面の郵送だけでは算定できない。ケアマネジャーが実際に通院先に同行することが要件。
- 医師への情報提供が必要:付き添うだけでは算定できない。医師に対して利用者の生活状況等の情報提供を行うことが要件。
- 記録の保管:通院同行の記録・情報提供の記録を残す。実地指導で算定根拠を示せる状態にしておく。
- 基本報酬の算定が前提:基本報酬(居宅介護支援費)を算定している月でなければ、加算のみの算定はできない。
通院時情報連携加算を算定するための地域連携の考え方
通院時情報連携加算を継続的に算定するためには、地域のかかりつけ医・病院との関係づくりが基盤となります。単発の通院同行ではなく、主治医との定期的な情報交換の仕組みを作ることが重要です。
具体的には次のような取り組みが有効です。
- 主治医への挨拶訪問:新規利用者の担当開始時に、主治医への挨拶訪問(担当ケアマネの紹介)を行うことで、医師との顔の見える関係を構築できます。この際に「必要があれば通院に同行します」と伝えておくことで、通院同行の機会が生まれやすくなります。
- 診察前の情報提供書の事前送付:通院日の前日・当日に情報提供書を医療機関にFAXまたは持参することで、医師が診察前に利用者の状況を把握できるようにする取り組みも効果的です。通院に同行できない場合でも、情報共有の習慣として続けることで信頼関係が生まれます(ただし同行しない場合は加算算定はできません)。
- 退院時カンファレンスの参加:入院中の利用者が退院する際に退院時カンファレンスに参加することで、医師・看護師・リハビリ職との関係が深まります。退院後の外来通院への同行につながるケースも生まれます。
医師との関係づくりは、通院時情報連携加算の算定だけでなく、退院・退所加算(最大900単位)の算定機会増加にも直結します。地域連携の強化は事業所の安定的な収入体制を作る上で重要な経営戦略です。
通院時情報連携加算と在宅医療・介護連携の推進との関係
国は「医療と介護の連携強化」を政策の柱の一つとして位置づけており、在宅医療・介護連携推進事業(地域支援事業)を全市区町村で展開しています。通院時情報連携加算は、この政策の方向性に沿ったケアマネジャーの行動(かかりつけ医との情報共有)を経済的にサポートする仕組みです。地域の在宅医療・介護連携推進事業の研修・ネットワークに積極的に参加することで、算定の機会になる医師との関係構築をより効果的に進めることができます。
通院時情報連携加算の令和6年度改定後の動向
通院時情報連携加算は令和3年度改定で新設された比較的新しい加算です。令和6年度改定では単位数(50単位)・算定要件(月1回限度・通院同行・医師への情報提供)に変更はありませんでした。令和8年6月改定においても算定要件・単位数に大きな変更はなく、引き続き算定が可能です(2026年11月時点)。ただし、加算の運用に関する解釈や自治体の取扱いは変わる場合があるため、改定のたびに確認することをお勧めします。
令和8年度以降の改定でこの加算の単位数や算定要件が変更される可能性があります。算定を継続するためには、改定の都度、厚生労働省の告示・通知・Q&Aを確認する習慣を持つことが重要です。また、医療との連携を強化する政策の方向性に変化がない限り、この加算が廃止される可能性は低いと考えられますが、算定要件の厳格化や拡充の可能性はあります。改定情報は介護保険最新情報(厚生労働省)や都道府県・市区町村の事業者向けニュースレター等で定期的に確認することをお勧めします。
参考・出典
- 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第20号)
- 令和3年度介護報酬改定の概要(厚生労働省)
この記事は2026年11月時点の情報に基づいています。算定要件の詳細は告示・通知でご確認ください。
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