熱中症は第二種衛生管理者の労働衛生(有害業務以外)で頻出テーマです。「熱中症の重症度分類(熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病)」「WBGT(湿球黒球温度)の計算式・基準値」「屋内と屋外の計算式の違い」が問われます。このページでは試験に出る熱中症・WBGTのポイントを整理します。
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熱中症の重症度分類(I度〜III度)
熱中症は日本救急医学会の重症度分類(I度・II度・III度)と、従来からの分類(熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病)の両方が使われています。試験では従来分類の特徴が問われることが多いです。
| 種類 | 症状 | 体温 | 対処 |
|---|---|---|---|
| 熱失神 | 顔色蒼白・めまい・失神(一過性の意識消失)。脱水と末梢血管の拡張による血圧低下 | 体温は大きく上昇しないことが多い | 涼しい場所で横になる・脚を高くする・水分補給 |
| 熱けいれん | 大量発汗後に水のみを補給した場合の低ナトリウム(塩分不足)による筋肉けいれん・痛み | 体温はあまり上昇しない | 塩分と水分の補給(塩分入り飲料・食塩水) |
| 熱疲労 | 大量の発汗・強い倦怠感・脱力感・虚脱感・吐き気。体温は上昇するが意識はある | 体温は37〜40℃程度 | 涼しい場所で安静・水分と塩分の補給 |
| 熱射病 | 体温40℃以上の高体温・意識障害(最重症)。発汗が止まることもある | 40℃以上 | 緊急冷却(アイスパック・冷水タオル)・119番救急搬送 |
4種類の中で最も重症なのは「熱射病」で、体温40℃以上・意識障害を伴い、適切な対応が遅れると生命の危険があります。
WBGT(湿球黒球温度)の計算式
WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)は、熱中症リスクを評価するための指標です。試験では「計算式の違い(屋内と屋外)」が問われます。
| 条件 | 計算式 | 使用する温度計 |
|---|---|---|
| 屋外(日射がある場合) | WBGT = 0.7×湿球温度 + 0.2×黒球温度 + 0.1×乾球温度 | 3つの温度計を使用 |
| 屋内(日射がない場合) | WBGT = 0.7×湿球温度 + 0.3×黒球温度 | 2つの温度計を使用 |
出典:日本工業規格(JIS Z 8504)・厚生労働省「熱中症予防のためのWBGT活用指針」
ポイント:屋内と屋外で計算式が異なります。屋外では太陽からの熱(輻射熱)も考慮するため乾球温度が加わります。WBGTの計算で最も重みが大きいのは湿球温度(係数0.7)です。これは「湿度(発汗による冷却効果の低下)」が熱中症リスクに最も大きく影響するためです。
WBGTの基準値(熱中症予防の判断目安)
厚生労働省の指針ではWBGTの基準値に応じた対策が示されています。
| WBGT値 | リスク区分 | 対策の目安 |
|---|---|---|
| 21℃未満 | ほぼ安全 | 適宜水分補給 |
| 21〜25℃未満 | 注意 | 積極的な水分補給・暑さに慣れていない人は特に注意 |
| 25〜28℃未満 | 警戒 | 定期的な休憩・水分・塩分補給 |
| 28〜31℃未満 | 厳重警戒 | 激しい運動や作業は避ける |
| 31℃以上 | 危険 | 屋外での激しい作業・運動は原則中止 |
熱中症予防のための職場での対策
職場での熱中症対策として、事業者が行うべき主な取り組み:
- WBGT値の計測・記録(作業環境測定)
- こまめな水分・塩分補給(0.1〜0.2%の塩分濃度の飲料水を目安)
- 暑熱順化期間の確保(暑い環境に体を慣らす期間:1〜2週間が目安)
- 作業者の健康状態の確認(前日の睡眠・飲酒・体調チェック)
- 緊急時の対応手順・連絡体制の整備(119番への通報ルート等)
熱中症・WBGTの頻出ひっかけパターン
| よくある誤り | 正しい内容 |
|---|---|
| WBGTの計算で最も重みが大きいのは黒球温度 | 誤り。最も重みが大きいのは湿球温度(係数0.7) |
| 屋内のWBGTは乾球温度・湿球温度・黒球温度の3つで計算する | 誤り。屋内は湿球温度と黒球温度の2つで計算(乾球は使わない) |
| 熱けいれんは塩分不足ではなく水分不足が原因 | 誤り。水だけを飲んで塩分を補給しなかったことによる低ナトリウム血症が原因 |
| 熱射病は体温が38℃程度 | 誤り。熱射病は体温40℃以上・意識障害を伴う最重症 |
WBGTの計算式(屋内・屋外の違い)
WBGT(湿球黒球温度)は熱中症予防の指標として国際的に使用されています。試験では計算式の違いが頻出です。
| 条件 | 計算式 |
|---|---|
| 屋外(日射がある場合) | WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度 |
| 屋内または日陰(日射がない場合) | WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度 |
湿球温度の係数(0.7)が最大なのは、熱中症において「湿度(蒸発冷却できるかどうか)」が最も重要な因子であることを示しています。日射がある屋外は乾球温度(0.1)を加えます。屋内・日陰の式は乾球温度を含まないことも覚えてください。
WBGT基準値と熱中症予防行動
WBGTには熱中症予防のための基準値があります。
| WBGT値 | 区分 | 推奨される行動 |
|---|---|---|
| 25℃未満 | ほぼ安全 | 通常の熱中症予防行動 |
| 25〜28℃未満 | 注意 | 熱中症予防行動の強化 |
| 28〜31℃未満 | 警戒 | 積極的な水分・塩分補給・高温環境下での激しい作業を避ける |
| 31℃以上 | 厳重警戒 | 特別な防護措置なしでの激しい作業・運動は原則禁止 |
熱中症の予防対策
職場での熱中症予防対策(厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」等に基づく):
- 作業環境の管理:WBGT測定と管理・通気・遮光・冷却設備の整備
- 作業管理:高温環境での作業時間の短縮・休憩時間の確保・作業量の調整
- 健康管理:暑熱順化(作業開始前2週間かけて体を慣らす)・健康状態の確認・体調不良者の作業制限
- 労働衛生教育:熱中症の症状・応急処置・自己申告の重要性
- 水分・塩分補給:こまめな水分補給(作業開始前・作業中20分ごと・作業後)・塩分の補給
試験では「暑熱順化とはどのような対策か」という問題が出ることがあります。暑熱順化とは、高温環境での作業に徐々に慣れさせることで体の適応能力を高めることです。
熱中症に関するよくある試験の問い
- 「熱射病の特徴は何か」→高体温(40℃以上)・意識障害(意識がなくなる)・発汗の停止
- 「熱けいれんの原因は何か」→塩分(ナトリウム)不足。大量発汗後に水だけ補給した場合に起こる
- 「屋内のWBGT計算式に乾球温度は含まれるか」→含まれない(屋内は0.7×湿球+0.3×黒球)
- 「WBGTの係数で最も大きいのはどれか」→湿球温度の0.7(最も大きい)
- 「暑熱順化には何週間程度が必要か」→概ね2週間
熱中症・WBGTは試験の「労働衛生(有害業務以外)」科目で毎回出題される最重要テーマです。重症度分類(熱射病の高体温・意識障害)・WBGTの計算式(屋内と屋外の違い)・塩分補給の重要性(熱けいれんの原因)を確実に覚えることで、この分野で確実に得点できます。
熱中症の応急処置
職場での熱中症発生時の応急処置として、以下の対応が求められます。
- 涼しい場所(日陰・室内)に移動させる
- 衣服をゆるめ、体を冷やす(首・腋・足の付け根など太い血管が通る部位に冷却材をあてる)
- 意識がある場合は経口補水液・スポーツドリンク等で水分・塩分を補給する
- 意識がない・呼びかけに反応しない場合は救急車を呼ぶ(119番通報)
- 嘔吐がある場合は横向きにして気道を確保する(仰向けにすると吐物が気道をふさぐ)
熱射病の場合は高体温(40℃超)・意識障害が特徴で、迷わず救急車を要請します。「熱中症かもしれないが様子を見る」という対応は熱射病では命に関わります。
熱中症と水分・塩分補給
水分補給の際に「水だけ」を大量に飲むと血中ナトリウム濃度が低下し、熱けいれんを引き起こします。
- 作業中は0.1〜0.2%程度の食塩水またはスポーツドリンクを補給する
- 一度に多量を飲むのではなく、こまめに少量ずつ補給する(1回200ml程度が目安)
- アルコールや大量のカフェインは利尿作用があるため、作業前後の補給には適さない
熱中症・WBGTの試験対策として、重症度分類(熱射病の意識障害・高体温)・WBGTの計算式(屋内と屋外の違い・湿球温度の係数0.7)・塩分補給の必要性(熱けいれんは塩分不足が原因)を確実に覚えてください。
熱中症の発症しやすい条件と対象者
熱中症は以下のような条件・対象者で特に発症リスクが高くなります。
- 高温多湿の環境(梅雨から夏季・屋外作業・工場内の高温作業)
- 直射日光下での長時間作業(屋外工事・農作業・運搬作業等)
- 熱への慣れがない時期(作業開始直後・暑熱順化が不十分な場合)
- 高リスク者:高齢者・肥満者・体調不良者・飲酒後の者・利尿剤服用者
- 通気性・放熱性が低い衣服を着用している場合
熱中症は「予防可能な疾病」です。WBGT測定・作業時間管理・水分・塩分補給・暑熱順化(約2週間)・体調確認の5つを組み合わせることで発症リスクを大幅に低減できます。試験でも「熱中症予防の総合的な対策」が問われることがありますので、具体的な対策名と内容を覚えておきましょう。
熱中症は適切な管理と予防で防げる疾病です。職場では毎年夏季の定期的なWBGT測定・作業計画の見直し・水分・塩分補給の習慣化・高リスク者の把握という4点を日常管理として定着させることが求められます。試験では重症度分類(熱射病は高体温・意識障害)・WBGTの計算式(屋内と屋外の違い)・暑熱順化(約2週間)という3つの知識を確実に覚えることが得点への近道です。
熱中症は迅速な応急処置と救急要請の判断が命を左右します。熱射病と判断した場合は迷わず119番に連絡し、体を冷やしながら救急車の到着を待つことが最優先です。職場全員がこの対応を理解しておくことが事故防止につながります。
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▶ 第二種衛生管理者 過去問・AI問題集
出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「衛生管理者免許試験 試験案内」(2026年11月時点)。法令の数字は労働安全衛生法・同施行令・安衛則の条文に基づきます。
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