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蒸気の性質(飽和蒸気・過熱蒸気・乾き度・エンタルピー)は、ボイラー技士試験の「ボイラーの構造」科目と熱計算に欠かせない基礎知識です。蒸気表と連動して理解することで得点に直結します。
水の状態変化と蒸気
水を加熱すると、液体→飽和蒸気→過熱蒸気と状態が変化します。この過程を圧力一定条件で整理します。
飽和状態とは
ある圧力において、液体と蒸気が共存できる温度状態を「飽和状態」といいます。この温度を飽和温度(飽和点)といい、対応する圧力を飽和圧力といいます。
- 標準大気圧(101.325 kPa)での飽和温度 = 100℃(沸点)
- 圧力が高いほど飽和温度も高くなる(例:1 MPaでは179.9℃)
飽和蒸気と乾き度
湿り飽和蒸気(wet saturated steam)
飽和温度において液体と蒸気が共存している状態の蒸気です。細かな水滴を含んでいます。
乾き飽和蒸気(dry saturated steam)
飽和温度において水分をまったく含まない状態の蒸気です。乾き度(x)= 1 の状態。
乾き度(クオリティ)x
湿り蒸気における蒸気分率を乾き度といいます。
x = 蒸気質量 / (蒸気質量 + 水分質量)
- x = 1:完全に乾いた飽和蒸気
- x = 0:完全に液体(飽和水)
- 0 < x < 1:湿り飽和蒸気
ボイラーから取り出す蒸気は理想的には x ≈ 1 に近い乾き度が必要です。乾き度が低い(湿り蒸気)と蒸気タービンや熱交換器の効率が下がります。
過熱蒸気(superheated steam)
飽和温度よりさらに加熱した蒸気です。水分を含まず、温度が飽和温度より高い状態です。
- 過熱度:過熱蒸気の温度 − 飽和温度(同圧力)
- 過熱蒸気は蒸気タービンの効率向上・配管内凝縮防止に用いられる
- 一級ボイラーでは過熱器(スーパーヒーター)が設置されることが多い
エンタルピーとは
エンタルピー(H、単位:kJ/kg)は、物質が持つ熱エネルギー量の指標です。ボイラーの熱計算では必須の概念です。
飽和水のエンタルピー(h’)
飽和温度の液体水が持つエンタルピー。基準点(0℃の水 = 0 kJ/kg)からの積算値。
蒸発潜熱(r)
飽和水が全て蒸気に変わるために必要な熱量。単位:kJ/kg。圧力が高いほど蒸発潜熱は小さくなります。
- 大気圧(100℃)での蒸発潜熱:約2,257 kJ/kg
- 1 MPa(179.9℃)での蒸発潜熱:約2,015 kJ/kg
乾き飽和蒸気のエンタルピー(h”)
h” = h’ + r(飽和水のエンタルピー + 蒸発潜熱)
湿り飽和蒸気のエンタルピー(h)
h = h’ + x・r(乾き度 x で按分)
ボイラーの熱計算への応用
ボイラーの発生熱量(Q)は次式で計算します。
Q = G × (h” − h_fw)
- G:蒸発量(kg/h)
- h”:発生蒸気のエンタルピー(kJ/kg)
- h_fw:給水のエンタルピー(kJ/kg)
計算例
圧力1 MPaの乾き飽和蒸気を毎時5,000 kg発生させるボイラーの発生熱量を求める。給水温度は20℃(エンタルピー≒84 kJ/kg)、1 MPaでの乾き飽和蒸気エンタルピーは約2,778 kJ/kgとする。
Q = 5,000 × (2,778 − 84)= 5,000 × 2,694 = 13,470,000 kJ/h ≈ 13,470 MJ/h
試験で間違えやすいポイント
- 乾き度 x = 1 は「乾き飽和蒸気」(水分ゼロ)。x = 0 は「飽和水」(液体)
- 過熱蒸気は「飽和温度より高い温度の蒸気」。圧力が同じでも飽和蒸気より温度が高い
- 蒸発潜熱は圧力が高くなるほど小さくなる(臨界圧力で0になる)
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則・ボイラー構造規格・安全衛生技術試験協会
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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