短期入所の個人情報保護研修。要配慮個人情報の扱いと、退職後も続く秘密保持義務。

短期入所の個人情報保護研修。要配慮個人情報の扱いと、退職後も続く秘密保持義務。 短期入所

短期入所の個人情報保護研修は、基準第36条(第145条で準用)と個人情報保護法が根拠です。利用者の障害に関する情報は「要配慮個人情報」に当たり、特別な取り扱いが必要です。退職後も秘密を漏らしてはならず、他の事業所に情報を提供する際は文書による同意が必要になります。この記事では、短期入所の個人情報保護研修の義務の根拠・内容・SNS・注意点をまとめました。

個人情報保護・秘密保持の義務の根拠は基準第36条

基準第36条第1項(短期入所には第145条で準用)は次のように定めています。

「指定居宅介護事業所の従業者及び管理者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。」

出典:平成18年厚生労働省令第171号 第36条第1項(第145条で準用)

さらに、退職後についても同じ義務が続きます。

「従業者及び管理者であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。」

出典:同上 第36条第2項

「必要な措置」とは、雇用契約書や就業規則に秘密保持に関する規定を設けることが代表的な対応です。研修記録は5年間の保管が必要です。

障害に関する情報は「要配慮個人情報」—特別な取り扱いが必要

個人情報保護法は、「要配慮個人情報」を次のように定義しています。

「この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。」

出典:個人情報保護法 第2条第3項

個人情報保護法施行令は、要配慮個人情報として「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の個人情報保護委員会規則で定める心身の機能の障害があること」を定めています。

つまり、利用者に障害があること・その障害の種類・程度などの情報は、通常の個人情報よりも厳重に取り扱う必要があります。取得には原則として本人の同意が必要で、第三者に提供する際の制限も厳しくなっています。

他の事業所・機関に情報を提供するときは文書による同意が必要

基準第36条第3項は次のように定めています。

「他の指定居宅介護事業者等に対して、利用者又はその家族に関する情報を提供する際は、あらかじめ文書により当該利用者又はその家族の同意を得ておかなければならない。」

出典:同上 第36条第3項

ただし、解釈通知(障発第1206001号)は、この同意の取り方について次のように示しています。

「この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。」

出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日)

利用開始時に、どんな相手(医療機関・相談支援事業所・市町村など)にどんな情報を提供することがあるかを説明して、文書で包括的な同意を得ておくことで、個別に毎回同意を取る必要はなくなります。

SNSと写真の取り扱い

職員が個人のスマートフォンで利用者を撮影したり、個人のSNSに利用者の様子を書いたりすることは、情報漏洩につながります。事業所として次のルールを定め、職員全員に周知することが必要です。

  • 利用者の撮影は事業所の端末だけで行う
  • SNSへの投稿は、利用者や作業の様子が分かる写真・文章を含めない
  • 製品販売ページ・チラシ・会報などへの写真掲載は、本人(必要に応じて家族)の許諾を得たものだけにする
  • 個人の記録や名簿を作業場・共用スペースに置いたままにしない

短期入所特有の注意:情報の引き継ぎと情報管理

短期入所では、利用者を受け入れる際に家族・普段の事業所から健康状態・服薬・アレルギー・緊急時の連絡先などを引き継ぎます。この引き継ぎ情報には要配慮個人情報が多く含まれます。

情報の管理について、次の点を研修で確認してください。

  • 受け入れ時に取得した個人情報を、鍵のかかる場所(または端末のパスワードロック)で管理しているか
  • 宿泊中の支援記録(入浴・排せつ・服薬・夜間の様子)を保管する期間と方法を決めているか(記録は5年保管)
  • 退所時に不要になった個人情報(メモ・印刷物など)を適切に廃棄する手順があるか
  • 送迎車の中で、他の利用者の名前・家族の話題・体調を口にしていないか

当方の法定研修・訓練キット(短期入所版)では、個人情報保護・秘密保持をテーマにした研修資料・確認テストを含んでいます。

この記事は、基準の条文(e-Gov法令検索の現行の条文)、国の解釈通知(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日)、個人情報保護法・個人情報保護法施行令(e-Gov法令検索の現行条文)の原文を確認して書いています(確認日:2026年11月1日)。作成:fufumumu_design

この記事の出典

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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