屋内消火栓・スプリンクラーの水源水量の規定と算定方法

屋内消火栓・スプリンクラーの水源水量の規定と算定方法 資格

屋内消火栓設備とスプリンクラー設備には、それぞれ必要な水源水量(水槽に確保すべき水量)が消防法施行規則で定められています。「何Lの水が必要か」の根拠となる規定と算定の考え方を理解することは、試験の計算問題を解くうえで欠かせません。この記事では、各設備の水源水量の規定と算定の根拠を整理します。

問題をすぐに解いてみたい方はこちらをご利用ください。
▶ 消防設備士 第1類 問題集

水源水量とは何か

水源水量とは、消火設備が規定の時間・規定の放水量で動作し続けるために必要な水の量(有効水量)です。水槽の全容量ではなく、実際に使用できる「有効容量」として確保する必要があります。

水源水量の確保が必要な理由は、火災が長引いた場合でも一定時間は放水を継続できるようにするためです。水量が不足して途中で放水が止まれば消火が不完全になります。消防法施行規則では、使用する消火栓・ヘッドの数と放水時間の積から最低限必要な水量が定められています。

屋内消火栓設備の水源水量

屋内消火栓設備の水源水量は消防法施行規則第12条第1項第5号に定められています。算定の基本は「同時開口数(放水する消火栓の数)× 放水量 × 放水時間」です。

消火栓の種類 同時開口数 放水量 放水時間 最低水量
1号消火栓 最大2個 130L/min以上 20分間 2個×130×20=5,200L(5.2m³)以上
2号消火栓 最大2個 60L/min以上 20分間 2個×60×20=2,400L(2.4m³)以上
広範囲型1号消火栓 最大2個 130L/min以上 20分間 2個×130×20=5,200L(5.2m³)以上

出典:消防法施行規則第12条第1項第5号(屋内消火栓設備の水源の水量)

「同時開口数2個」とは、1つの防火対象物で最も多くの消火栓が同時使用される想定本数です。ただし、設置している消火栓の総数が2個未満の場合はその数が同時開口数になります。

スプリンクラー設備の水源水量

スプリンクラー設備の水源水量は消防法施行規則第14条第1項第10号に定められています。算定の基本は「基準個数(標準時に同時に開放するヘッドの数)× 1個当たりの放水量 × 放水時間」です。

標準型閉鎖型スプリンクラー設備の場合の基準個数と水源水量の規定(一般的な建物での例)は次のとおりです。

建物の階数 基準個数 1個の放水量 放水時間 最低水量の目安
10階以下 15個 80L/min以上 20分間 15×80×20=24,000L(24m³)以上
11階以上 30個 80L/min以上 20分間 30×80×20=48,000L(48m³)以上

出典:消防法施行規則第14条第1項第10号(スプリンクラー設備の水源の水量)

ただし、小区画型ヘッド・住宅用スプリンクラー・高天井への放水型ヘッドなど、ヘッドの種類によって基準個数・放水量・放水時間の規定が異なります。試験では最も基本的な標準型の数値が中心です。

有効水量の確保のための注意点

水槽の容量と「有効水量」は異なります。水槽の底面から吸込み管の先端(フート弁)まで水が溜まっていても、実際にポンプで吸い上げられるのは「吸込み管の先端より上の水」です。このため、水槽の全容量ではなく有効水量が規定値以上あるかどうかを確認します。

水槽の点検では有効水量(水槽内の水位から算出)を記録し、設計値と比較することが求められます。水槽の亀裂・漏水・底部の汚泥堆積が水位低下の原因になることがあります。

試験での計算問題との関係

試験では水源水量の計算が出題されます。「何個の消火栓(またはヘッド)が同時に動作する想定で、放水時間は何分か」という条件から水源水量を計算します。

計算の手順は「基準個数×1個当たりの放水量(L/min)×放水時間(min)=水源水量(L)」です。単位をL(リットル)とm³(立方メートル)で変換する問題も出ます(1m³=1,000L)。

計算問題の解き方の詳細はこちらの記事でまとめています。
→ 甲1の計算問題は3種類。ヘッド個数・水源水量・ポンプ全揚程の解き方

まとめ

屋内消火栓の水源水量は「同時開口数×放水量×20分間」で算出し、1号消火栓では5.2m³以上が最低値になります(消防法施行規則第12条第1項第5号)。スプリンクラー設備は「基準個数×80L/min×20分間」が基本で、10階以下の建物では24m³以上になります(消防法施行規則第14条第1項第10号)。水槽の全容量ではなくフート弁より上の有効水量が規定を満たすことが必要です。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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