消防設備点検での立会いと管理組合・施設担当者がすること。法令の定めと実務を整理する

消防設備点検での立会いと管理組合・施設担当者がすること。法令の定めと実務を整理する 資格

消防設備点検とは何か

消防設備点検は、建物に設置された消防用設備等が正常に機能するかどうかを定期的に確認する作業です。消防庁告示第9号により、機器点検(6か月ごと)と総合点検(年1回)の2種類が定められています。

点検の種類 周期 内容
機器点検 6か月ごと 外観と簡易な機能確認。消火器の指示圧力計・安全栓の状態など
総合点検 年1回 実際に作動させて機能を確認。自動火災報知設備の発報試験など

消火器の点検は機器点検のみで、総合点検の対象ではありません。消防設備士(乙種第6類)または消防設備点検資格者(第2種)が実施できます(消防法施行令第36条・消防法施行規則第31条の6)。

立会いは必要か

消防設備点検に施設側の立会いが法令で義務づけられているわけではありません。ただし、実務上は次の理由から担当者の同席や協力が必要になります。

  • 共用部の鍵の解錠(機械室・ポンプ室・受信機盤の扉)
  • 各戸・各室への入室許可の取り付け(マンションの場合は事前告知が必要)
  • 点検後の点検票・点検結果報告書への署名確認

マンションの場合、各戸に点検日を事前に掲示・通知し、不在の戸は後日再点検または管理組合立会いのもと入室することが一般的です。当日の立会いは管理員や管理組合の担当者1名で足りることが多く、全員の同席は不要です。

消防設備士が来たときに施設側がすること

点検当日に施設担当者が行うことは主に次の4点です。

  1. 本人確認:消防設備士の免状(または点検資格者の登録証)を確認する。消防署員や行政職員が直接点検に来ることはありません。
  2. 鍵の受け渡し:機械室・EPS(電気配線スペース)・共用廊下の消火器収納箱などの鍵を渡す。
  3. 点検中の動線確保:住民・利用者への周知(自動火災報知設備の試験時はベルが鳴る旨など)。
  4. 点検票への確認・署名:点検完了後に点検票を受け取り、指摘事項を確認する。報告書提出用の控えを保管する。

点検結果の受け取りと確認方法

点検が終わると、消防設備士から点検票(点検結果報告書)が渡されます。点検票には個々の設備の状態が「良」「要整備」「不備」などで記載されています。

確認すべきポイントは次のとおりです。

  • 「要整備」の項目:消火薬剤の詰め替え・部品交換など、整備が必要な箇所です。放置すると次回点検でも指摘され、報告書に記載されます。
  • 「不備(重大)」の項目:緊急性が高いものです。消防署への報告書提出前に対処することが望まれます。
  • 消火器の廃棄推奨:腐食・変形・製造後10年超で耐圧試験未実施などの消火器は廃棄・交換を求められます。

消防署への報告書提出は関係者の義務

点検結果を消防機関へ報告する義務は、防火対象物の所有者・管理者・占有者(関係者)にあります(消防法第17条の3の3)。消防設備士は点検を実施して点検票に署名しますが、報告書を消防署に提出するのは施設側です。

報告の頻度は次のとおりです(消防法施行規則第31条の6第3項)。

防火対象物の区分 報告頻度 提出先
特定防火対象物(飲食店・病院・百貨店など) 1年ごと 管轄の消防長または消防署長
非特定防火対象物(マンション・事務所・工場など) 3年ごと 管轄の消防長または消防署長

提出するのは「点検結果総括表」「点検結果報告書」「点検票」のセットです。消防設備士が代行して提出することもありますが、義務の主体は関係者であることを確認しておく必要があります。

管理組合での点検発注の流れ

マンション管理組合が消防設備点検を発注する場合の一般的な流れは次のとおりです。

  1. 複数の消防設備保守会社から見積もりを取得(点検本数・設備の種類・報告書作成の有無を揃えて比較)
  2. 管理組合総会または理事会で業者を決定・契約
  3. 点検日程を全戸に周知(1〜2週間前が目安)
  4. 点検当日に担当理事または管理員が立会い
  5. 点検票を受領・保管(次回点検までの記録として保存)
  6. 報告年度に消防署へ報告書を提出(3年ごとが多い)

見積もりを比較するときは、機器点検のみか総合点検込みか、報告書作成料が含まれているかを確認してください。本数が同じでも含まれるサービスが異なると単純比較できません。

点検で指摘された不備への対応

消火器に関して点検で指摘されることの多い事例と、対応の目安を整理します。

指摘内容 対応の目安
指示圧力計が緑色範囲外(蓄圧式) 整備(薬剤確認・再加圧)または交換
安全ピンが変形・脱落 整備(部品交換)
本体に腐食・変形あり 廃棄・新品交換
製造後10年超・耐圧試験未実施(加圧式) 耐圧試験または廃棄・新品交換
設置場所が不適切(歩行距離超過・高さ超過) 設置位置の変更

整備と交換のどちらが費用的に有利かは、消火器の種類・製造年・台数によって異なります。点検業者に費用の目安を確認してから判断することをお勧めします。

まとめ

消防設備点検での施設担当者・管理組合の役割は、鍵の提供・入室の許可・点検票の受領と保管・報告書の消防署への提出です。立会い義務は法令上ありませんが、実務上は担当者1名の協力が必要です。点検で指摘された不備は早めに対処し、消防設備が常に機能する状態を保つことが関係者の義務です(消防法第17条)。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
資格
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました