消防設備士 乙6の基礎的知識(機械)計算問題。てこ・圧力・流体の解き方を整理する

消防設備士 乙6の基礎的知識(機械)計算問題。てこ・圧力・流体の解き方を整理する 資格



消防設備士 乙6の筆記試験では、基礎的知識(機械)が5問出題されます。このうち2問以上正解しなければ科目足切りになります。5問中3〜4問が計算問題であることが多く、公式を1つ間違えると連鎖して失点しやすい科目です。

この記事では、試験に出るてこの原理・圧力・ボイルの法則・流体の連続の式について、公式と計算手順をまとめます。計算問題の科目対策全体は消防設備士 乙6の基礎的知識(機械)の入門もあわせてご参照ください。

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▶ 消防設備士 乙種第6類 問題集

基礎的知識(機械)の試験範囲

消防法施行規則第33条の12は、乙種の試験科目として「基礎的知識」を定めています。機械分野では、以下の5つのテーマが出題範囲とされています(一般的な機械の基礎知識に基づきます)。

出題テーマ 主な内容 問われ方
力とモーメント てこの原理・つり合い条件 計算問題(数値を求める)
圧力 圧力の定義・ゲージ圧と絶対圧 計算問題または記述問題
流体 ボイルの法則・連続の式 計算問題(比例・反比例)
材料 金属の熱処理(焼入れ・焼戻し等) 暗記問題(名称と効果)
機械要素 ねじ・歯車・軸受けの種類と用途 暗記問題(名称と特徴)

出典:消防法施行規則第33条の12(試験科目)・一般的な機械の基礎知識(2026年10月確認)

材料と機械要素は暗記が中心です。対して、力とモーメント・圧力・流体は計算を伴うため、公式を理解して使えるようにしておく必要があります。

てこの原理と力のモーメント

てこの原理は、力のモーメント(力の回転効果)のつり合いに基づいています。これは一般的な機械の基礎知識であり、消防法令の条文に直接の根拠はありません。

モーメントの公式

モーメント(N・m)は、力(N)と支点からの距離(m)の積で計算します。

項目 記号 単位
力 F N(ニュートン)またはkN
支点からの距離 L m(メートル)
モーメント M N・m

出典:消防法施行規則第33条の12(試験科目)・一般的な機械の基礎知識(2026年10月確認)

公式:M = F × L

つり合いの条件は「左回りのモーメント=右回りのモーメント」です。支点を挟んで両側の力のモーメントが等しいとき、てこはつり合います。

計算例:必要な力を求める

支点から2mの位置に3kNの力がかかっています。つり合うためには、支点から3mの位置に何kNの力が必要ですか。

左回りのモーメント:3kN × 2m = 6kN・m
右回りのモーメント:F × 3m
6kN・m = F × 3m
F = 6 ÷ 3 = 2kN

支点から3mの位置に2kNの力が必要です。距離が長い側は、より小さな力でつり合わせることができます。この「距離が長いと必要な力が小さくなる」関係がてこの原理の本質です。

圧力の計算(ゲージ圧と絶対圧)

圧力は単位面積あたりにかかる力の大きさです。消火器の指示圧力計が示す使用圧力はゲージ圧で表されるため、圧力の定義とゲージ圧・絶対圧の関係は試験でも問われます。

圧力の公式

公式 記号の意味 単位
P = F ÷ A P:圧力、F:力、A:面積 Pa(パスカル)= N/m²
1kPa = 1,000Pa kPa→Paの変換 単位変換
ゲージ圧 = 絶対圧 − 大気圧 大気圧 ≒ 0.1MPa(101.3kPa) MPa・kPa

出典:消防法施行規則第33条の12(試験科目)・一般的な機械の基礎知識(2026年10月確認)

計算例:圧力を求める

面積0.01m²の面に100Nの力がかかっています。このときの圧力は何Paですか。

P = F ÷ A = 100N ÷ 0.01m² = 10,000Pa = 10kPa

ゲージ圧と絶対圧の違い

絶対圧は真空を0として測った圧力です。ゲージ圧は大気圧(約0.1MPa)を基準の0として測った圧力で、消火器の指示圧力計が示すのはゲージ圧です。たとえば蓄圧式消火器の使用圧力は0.7〜0.98MPaと規定されていますが、これはゲージ圧での値です。

ボイルの法則(圧力と体積の関係)

ボイルの法則は、温度が一定のとき、気体の圧力と体積は反比例するという法則です。加圧式消火器のガス容器の計算や、蓄圧式消火器の充填ガスの挙動を理解する基礎になります(一般的な機械の基礎知識です)。

ボイルの法則の公式

公式 記号の意味
P₁ × V₁ = P₂ × V₂ P:圧力、V:体積(温度一定の条件で)
P × V = 一定 圧力と体積の積は常に等しい

出典:消防法施行規則第33条の12(試験科目)・一般的な機械の基礎知識(2026年10月確認)

計算例:体積を求める

ある気体の圧力を2倍にすると、体積はどうなりますか。

P₁ × V₁ = P₂ × V₂
P₁ × V₁ = (2 × P₁) × V₂
V₂ = V₁ ÷ 2

圧力を2倍にすると体積は1/2になります。圧力と体積は反比例するため、圧力が3倍になれば体積は1/3になります。

別の計算例:変化後の圧力を求める

体積1Lの容器に充填された気体(圧力0.3MPa)を、0.5Lの容器に移したとき、圧力は何MPaになりますか(温度は一定とします)。

P₁ × V₁ = P₂ × V₂
0.3MPa × 1L = P₂ × 0.5L
P₂ = (0.3 × 1) ÷ 0.5 = 0.6MPa

流体の連続の式

流体が管の中を流れるとき、断面積と流速の積(流量)は一定に保たれます。これを連続の式といいます(一般的な機械の基礎知識です)。

連続の式の公式

公式 記号の意味
A₁ × V₁ = A₂ × V₂ A:断面積(m²)、V:流速(m/s)
Q = A × V Q:流量(m³/s)は一定

出典:消防法施行規則第33条の12(試験科目)・一般的な機械の基礎知識(2026年10月確認)

断面積が小さくなると流速が速くなり、断面積が大きくなると流速が遅くなります。川が狭くなるところで流れが速くなる現象と同じ原理です。消火器のノズル(放射口)が細くなっているのも、断面積を小さくして流速を上げて薬剤を遠くまで飛ばすためです。

計算例:流速を求める

断面積0.04m²の管を流れる液体(流速2m/s)が、断面積0.02m²の管に入ったとき、流速は何m/sになりますか。

A₁ × V₁ = A₂ × V₂
0.04m² × 2m/s = 0.02m² × V₂
V₂ = (0.04 × 2) ÷ 0.02 = 4m/s

断面積が半分になると、流速は2倍になります。

計算問題を解く3ステップ

計算問題で失点を防ぐには、解く手順を固定することが効果的です。以下の3ステップを試験本番でも意識してください。

ステップ 作業 注意点
ステップ1:公式の特定 何を求めるかを確認し、使う公式を選ぶ 「力かな・圧力かな・体積かな」を先に決める
ステップ2:単位を揃える kN→N、kPa→Pa、kJ→Jなど同じ単位に統一 Pa = N/m²・1kPa = 1,000Pa
ステップ3:代入して確認 公式に数値を代入して計算し、単位を確認する 答えの単位が問題の聞き方と一致しているか

出典:消防法施行規則第33条の12(試験科目)・一般的な機械の基礎知識(2026年10月確認)

単位変換の早見表

変換前 変換後 計算方法
1kN 1,000N × 1,000
1kPa 1,000Pa × 1,000
1MPa 1,000kPa = 1,000,000Pa × 1,000,000
1m² 10,000cm² × 10,000

特に単位変換の誤りは計算問題での典型的な失点パターンです。kPaをそのままPaの数値として計算してしまうと答えが1,000倍ずれます。「単位を揃えてから計算する」を手順として固定してください。

暗記問題のテーマ:材料と機械要素

計算問題ではなく暗記で対応できるテーマも2つあります。

材料(金属の熱処理)

熱処理の種類 主な目的
焼入れ 硬さを増す(硬化)
焼戻し 焼入れ後の靭性を回復させる(脆さを取る)
焼なまし 柔らかくする・内部応力を除去する
焼ならし 組織を均一化する・標準化

出典:消防法施行規則第33条の12(試験科目)・一般的な機械の基礎知識(2026年10月確認)

機械要素(部品の種類と用途)

機械要素 主な種類・用途
ねじ 締結用(ボルト・ナット)・動力伝達用(送りねじ)
歯車 平歯車・はすば歯車・かさ歯車(方向を変える)
軸受け(ベアリング) ラジアル荷重(横方向)・スラスト荷重(軸方向)の支持
Oリング・パッキン 気密・液密の保持(シール)

出典:消防法施行規則第33条の12(試験科目)・一般的な機械の基礎知識(2026年10月確認)

機械要素は名称と用途の組み合わせを覚えることが主な対策です。計算は不要で、選択肢から正しい説明を選ぶ形式が多いです。

科目を通過するための配点の考え方

基礎的知識(機械)は5問中2問以上正解が必要です。計算問題で3〜4問が出るとして、2問の正解を確保する方法を考えます。

戦略 内容
計算問題2問を確実に取る てこ・圧力・ボイルの法則の公式を1つでも確実に使えるようにする
暗記問題で補う 材料・機械要素の暗記問題1〜2問で計算の失点をカバーする
2問捨てても通過できる 5問中2問正解でよいため、計算問題が3問出ても1問だけ取れば暗記問題でカバー可能

計算問題が苦手な場合でも、てこの原理とボイルの法則の2公式だけでも使えるようにしておけば、科目足切りを免れる確率が上がります。勉強時間の配分は消防設備士 乙6の勉強時間の目安でまとめています。

まとめ

基礎的知識(機械)の計算問題で押さえる公式は、モーメント(M = F × L)・圧力(P = F ÷ A)・ボイルの法則(P₁V₁ = P₂V₂)・連続の式(A₁V₁ = A₂V₂)の4つです。どれも一般的な機械の基礎知識に基づくものであり、消防法令の条文に直接の根拠はありません。

計算問題は「公式の特定→単位の統一→代入」の3ステップで解く習慣をつけることが、試験本番での失点防止につながります。材料と機械要素は暗記で対応できるため、計算が苦手な場合は暗記問題で正解数を補うことも有効な戦略です。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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