児童発達支援(以下、児発)の事業所では、感染症・虐待防止・身体拘束・BCPをはじめとした複数の研修と委員会の開催が義務づけられています。各テーマごとに「年1回以上」の要件があるため、年度の始めに年間計画を立てて計画的に消化していく方法が実務的です。
年間計画を作っておくと、研修と委員会の実施漏れを防げるほか、運営指導(実地指導)で「研修・委員会の実施状況」を確認される際に、計画と実績の対応を見せやすくなります。
義務研修・委員会の一覧と実施頻度
指定通所支援基準が定める研修・訓練・委員会の義務をまとめます。
| 区分 | テーマ | 頻度の目安 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 研修 | 感染症の予防・まん延防止 | 年1回以上 | 指定通所支援基準 第41条 |
| 訓練 | 感染症発生時の対応 | 年1回以上 | 指定通所支援基準 第41条 |
| 委員会 | 感染症委員会 | 年1回以上 | 指定通所支援基準 第41条 |
| 研修 | 虐待防止 | 年1回以上 | 指定通所支援基準 虐待防止に関する規定 |
| 委員会 | 虐待防止委員会 | 年1回以上 | 指定通所支援基準 虐待防止に関する規定 |
| 研修 | 身体拘束廃止 | 年1回以上 | 指定通所支援基準 身体拘束禁止に関する規定 |
| 委員会 | 身体拘束廃止委員会 | 年1回以上 | 指定通所支援基準 身体拘束禁止に関する規定 |
| 研修・訓練 | 業務継続計画(BCP) | 年1回以上 | 指定通所支援基準 業務継続計画に関する規定 |
| 研修 | 事故発生防止 | 年1回以上 | 指定通所支援基準 事故発生防止に関する規定 |
| 委員会 | 事故発生防止委員会 | 年1回以上 | 指定通所支援基準 事故発生防止に関する規定 |
| 訓練 | 防災(避難)訓練 | 消防計画に基づく(目安:年2回以上) | 消防法・消防計画 |
| 研修 | ハラスメント防止 | 年1回以上 | 労働施策総合推進法・障害福祉サービス指定基準(2024年改正) |
| 研修 | 個人情報保護 | 年1回以上 | 個人情報の保護に関する法律 |
上記に加え、発達支援の専門性向上・家族支援・医療的ケアなど、事業所の支援内容に応じた任意の研修テーマも計画に組み込むことが推奨されます。
月別スケジュールの組み方
義務研修・委員会を年間に分散して計画する場合の一例です。研修と委員会を同月に組み合わせると、開催の手間を減らせます。
| 時期 | 研修・委員会の予定(例) |
|---|---|
| 4月 | 年間研修計画の確認・個人情報保護研修(新入職員含む全員) |
| 5月 | 事故発生防止研修・事故発生防止委員会・施設内リスクアセスメント点検 |
| 6月 | 感染症研修(夏季感染症:手足口病・ヘルパンギーナ等) |
| 7月 | 防災(避難)訓練①・熱中症対策 |
| 8月 | 虐待防止研修・虐待防止委員会 |
| 9月 | BCP研修・訓練(自然災害対応・業務継続手順の確認) |
| 10月 | 感染症発生時対応訓練・感染症委員会 |
| 11月 | 防災(避難)訓練②・身体拘束廃止研修・身体拘束廃止委員会 |
| 12月 | 感染症研修(冬季感染症:インフルエンザ・ノロウイルス等) |
| 1月 | ハラスメント防止研修 |
| 2月 | 発達支援の専門性向上(事業所で設定)・障害特性理解 |
| 3月 | 年間の研修・委員会実施状況の振り返り・次年度計画の素案作成 |
年間計画を立てるときのポイント
義務テーマを先に埋める:感染症・虐待防止・身体拘束・BCPなど、指定通所支援基準が求める研修と委員会を最初に月に割り当て、残りに任意テーマを配置します。義務テーマの実施漏れが最も避けるべき事態です。
研修と委員会を同月に組む:感染症研修と感染症委員会は同月に開催すると、職員の参加機会を一度にまとめられます。ただし研修と委員会の記録は別々に残します。
新人・担当替えの時期を考慮する:4月入職の新人職員は義務研修を未受講の状態でスタートします。また、障害特性理解や個別支援計画に関する知識は、担当児が変わるたびに引き継ぎが必要です。4〜6月の研修に新人が必ず参加できる日程を確保するか、補完手段(録画・資料読み合わせ)を準備します。
医療的ケア児が在籍している場合の追加研修:医療的ケア児(たん吸引・経管栄養などを必要とする子ども)が通所している事業所では、医療的ケアに関する研修を追加で計画します。対応できる職員の資格・手順の確認も計画に含めます。
実施できなかった場合の振り替えを決めておく:職員の欠席・行事の重複で予定通りに開催できないことは起こります。翌月への振り替えルールを計画書に明記しておくと、年度末に「実施できていないテーマ」が残るリスクを減らせます。
計画書・記録として残すもの
- 年間研修・委員会計画書(テーマ・予定月・担当者・実施方法を一覧化したもの)
- 各研修の実施記録(実施日・テーマ・実施方法・参加職員名・受講確認サイン)
- 各委員会の開催記録(日時・出席者・議事内容・決定事項・職員への周知記録)
- 計画と実績の対応が確認できる管理表
- 実施できなかった研修・委員会の振り替え記録
記録の保存期間は一般的に5年間が目安です。指定権者(市区町村または都道府県)の指示に従って管理します。
法定研修・訓練のキットを使う
放課後等デイサービス・児童発達支援の法定研修に対応した研修・訓練キットを公開しています。年間計画テンプレート・各テーマの教材・確認テスト・委員会の議題案・記録様式をブラウザで使えます。
▶ 放課後等デイサービス・児童発達支援 法定研修・訓練キット
出典:指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準・消防法・個人情報の保護に関する法律・労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)。
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