就労継続支援A型の虐待防止。研修は年1回以上(新規採用時には必ず)、委員会は年1回以上(指針・担当者・記録の整備)

就労継続支援A型の虐待防止。研修は年1回以上(新規採用時には必ず)、委員会は年1回以上(指針・担当者・記録の整備) 福祉事業の開業と運営

就労継続支援A型の虐待防止の研修と委員会は、研修が年1回以上(新規採用時には必ず)、委員会が少なくとも年1回、指針の整備と担当者の選任が義務です。

就労継続支援A型は、利用者が雇用契約を結んで働く事業所です。雇用関係があるため、B型や生活介護とは一部異なる点も出てきます。虐待防止の義務は基準省令に定められており、研修・委員会・担当者・指針の4点をセットで整備する必要があります。

虐待防止の義務4点セット(A型の場合)

義務 回数・頻度 根拠条文
虐待防止責任者の選任 常時1名以上 第40条の2(準用)
指針の整備 随時見直し 第40条の2(準用)
研修の実施 年1回以上・新規採用時には必ず 第40条の2(準用)
委員会の開催 少なくとも1年に1回 第40条の2(準用)

条文のたどり方

就労継続支援A型の基準は、基準省令(厚生労働省令第171号)の第40条の2「虐待の防止のための措置」が準用されています(A型の運営基準の章は第186条以降で、第40条の2を準用する規定が入っています)。

解釈通知(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日)には、就労継続支援A型の項に研修の回数と委員会の回数が記載されています(厚生労働省PDF)。

  • 研修:年1回以上(新たに採用した職員については採用後できるだけ速やかに行う)
  • 委員会:少なくとも1年に1回

A型で起こりやすい虐待の場面

就労継続支援A型は雇用契約を結んで働く場です。賃金・労働条件・業務指示に関係した形で虐待が発生しやすい面があります。

厚生労働省「令和6年度障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」(令和7年公表)によると、令和6年度(令和6年4月〜令和7年3月)の障害者福祉施設従事者等による虐待の虐待判断件数は1,267件で、就労継続支援を含む複数の障害福祉サービス事業所が対象に含まれます(厚生労働省)。

A型特有の場面として以下が挙げられます。

  • 業務命令を理由とした利用者の意思を無視した指示(心理的虐待)
  • 賃金(最低賃金以上)の未払い・遅延(経済的虐待)
  • 生産性を名目とした過度な業務負担の強制(身体的虐待・心理的虐待)
  • 休憩・休暇の取得を妨げること(権利侵害)

研修で扱う内容

研修では、次の内容を扱います(国の手引きに基づく標準的な内容)。

  • 障害者虐待防止法の概要(定義・類型・通報義務)
  • 身体的虐待・心理的虐待・性的虐待・放棄放置・経済的虐待の5類型
  • A型(雇用関係のある事業所)における発生しやすい場面の具体例
  • 虐待を発見したときの通報・報告の手順
  • 虐待が起きやすい組織の特徴(孤立・過重負担・管理不全)

実施形式は、職員全員を対象とした集合研修が基本です。記録には日時・参加者名・内容・講師(担当者名)を残します。

委員会の中身

委員会では、次の事項を議題とします。

  • 前年度の虐待の発生件数と対応状況
  • ヒヤリハット事例の共有と再発防止策
  • A型(雇用関係のある職場)ならではのリスクの洗い出し(賃金・業務命令・労働条件に関係したもの)
  • 次年度の研修計画
  • 指針の内容の確認・見直し

委員会の記録には、開催日・出席者・議題・決定事項・次回の予定を記載します。「開催した」という記録だけでは、運営指導で実態の確認ができないとみなされることがあります。

担当者(虐待防止責任者)の役割

虐待防止責任者は、次のことを担います。

  • 指針の作成・更新
  • 研修の企画・実施
  • 委員会の運営
  • 職員から虐待の疑いについて相談を受ける窓口
  • 虐待が発生した場合の行政(市区町村)への通報

担当者は複数いても構いませんが、1名は明確に「責任者」として選任し、選任記録を残します。

A型と雇用法令の関係

就労継続支援A型の利用者は雇用契約に基づいて働くため、障害者雇用促進法・労働基準法・最低賃金法の適用を受けます。虐待防止の観点から、以下の事項も整備しておくことが求められます。

  • 就業規則(常時10人以上の場合は届出義務)
  • 最低賃金の確認と賃金台帳の整備
  • 36協定(時間外労働がある場合)

就業規則や賃金台帳の不備は、虐待防止委員会での議題になるとともに、運営指導でも確認されることがあります。

年間の計画例

月 実施内容
4月 新規採用職員向け虐待防止研修(採用後速やかに)
6月 全職員向け虐待防止研修(年1回)
9月 虐待防止委員会(前年度の振り返りと下半期の計画)
10月 指針の見直し・更新

まとめ

  • A型の虐待防止は研修(年1回以上)・委員会(年1回以上)・担当者の選任・指針の4点がセットです
  • 新規採用者には採用後速やかに研修を実施します
  • A型は雇用関係があるため、賃金・労働条件に関係した虐待のリスクを委員会の議題に含めます
  • 研修・委員会ともに日時・参加者・内容の記録が必要です

就労継続支援A型の研修全体の義務については、「就労継続支援A型の研修・委員会・訓練の義務」でまとめています。あわせてご覧ください。

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出典

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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