CO2消火設備の全域放出方式では、防護区画内に設計濃度のCO2を充満させる必要があります。開口部(換気口・扉・窓等)から薬剤が漏れると設計濃度に達しなくなるため、原則として薬剤放出前にすべての開口部を閉鎖しなければなりません。自動閉鎖装置で閉じられる開口部は薬剤量の計算に算入しませんが、閉鎖できない開口部には開口部補正量を加算します。
この記事では、防護区画の開口部の種類・自動閉鎖装置の要件・開口部補正量の考え方を整理します。
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防護区画の密閉性が必要な理由
全域放出方式は、防護区画全体にガスを充満させて酸素を排除することで消火します。密閉性が不十分だと次の問題が発生します。
- 薬剤放出中に開口部からガスが漏れ出して設計濃度(34vol%または50vol%)に達しない
- 設計濃度を維持する時間が短くなり、消火・再着火防止の効果が低下する
- 薬剤量が不足すると一部の火災が消火できずに残る(深部火災・くすぶり火災)
開口部の種類と取り扱いの違い
| 開口部の種類 | 取り扱い | 薬剤量計算への影響 |
|---|---|---|
| 自動閉鎖装置で閉じられる開口部(電磁式・ガス圧式等) | 起動信号と連動して薬剤放出前に自動閉鎖される | 薬剤量計算に算入しない(補正量不要) |
| 常時閉鎖されている開口部(常時閉の扉等) | 平常時から閉じている | 薬剤量計算に算入しない |
| 常時開放の開口部(閉鎖できない換気口・排気口等) | 薬剤放出中も開いたまま | 開口部面積×係数の補正量を加算する |
自動閉鎖装置の要件
自動閉鎖装置は、起動装置(感知器・手動起動装置)が動作したときに確実に開口部を閉鎖する装置です。消防法施行規則第19条では次の要件を定めています。
- 起動信号と連動して確実に動作すること
- 薬剤放出前(遅延時間20秒以内)に閉鎖が完了すること
- 動作状態を確認できる構造または表示が設けられていること
- 防火扉・防火ダンパーを兼用する場合は建築基準法の防火設備としての基準も満たすこと
開口部補正量の計算
常時開放の開口部がある場合、基本の薬剤量に開口部補正量を加算します。
開口部補正量 = 開口部面積(m²)× 開口部係数(kg/m²)
- 開口部係数は設計濃度と消火薬剤の種類によって消防法施行規則第19条別表で定まる
- 設計濃度が高い(50vol%)ほど開口部係数も大きくなる
- 防護区画の設計では開口部をできるだけ設けないか、自動閉鎖装置で閉鎖する設計が理想
換気設備の扱い
防護区画に換気設備がある場合、薬剤放出前に換気設備を停止させる自動装置が必要です。
- 換気ファン・空調設備は起動信号と連動して停止させる
- 換気ダクトには防火ダンパー(自動閉鎖)を設けて、ダクトを通じた薬剤の流出を防ぐ
- 換気設備の停止と防護区画の密閉は薬剤放出前に完了させる
防護区画の密閉性に関する試験の出題ポイント
- 「自動閉鎖装置で閉じられる開口部は薬剤量の補正量に算入するか」→ 答え:算入しない
- 「常時開放の換気口がある防護区画では薬剤量をどう計算するか」→ 答え:基本量+開口部面積×開口部係数の補正量を加算する
- 「自動閉鎖装置は薬剤放出の前後どちらに作動させるか」→ 答え:薬剤放出前に作動(遅延時間内に閉鎖完了)
- 「換気ファンは薬剤放出前に停止させる必要があるか」→ 答え:起動信号と連動して停止させる
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出典:消防法施行規則第19条(不活性ガス消火設備の基準・防護区画の条件・自動閉鎖装置)。
作成日:2026年11月5日

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