CO2消火設備の設計濃度と薬剤量計算。グループ別の判定から開口部補正まで。

CO2消火設備の全域放出方式では、防護区画のグループ(用途)によって設計濃度が変わり、必要な薬剤量が大きく異なります。第1グループ(電気室・通信機器室等)は設計濃度34vol%以上、第2グループ(その他の防護区画)は50vol%以上が基準です。薬剤量計算は「防護体積に応じた基本量+開口部の補正量」で求めます。

この記事では、甲3の試験で出る設計濃度の判定根拠・薬剤量計算の構造・開口部補正の考え方を解説します。

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設計濃度とは何か

設計濃度とは、防護区画内でCO2消火設備が確実に消火できるよう定めた空気中のCO2体積濃度(vol%)の下限値です。設計濃度は「消火に最低限必要な濃度(消火濃度)×安全係数1.4」で求められます。

  • 消火濃度 × 1.4 = 設計濃度(34vol%または50vol%)
  • 安全係数1.4は、実際の放出時の濃度ムラや防護区画の漏れを考慮して定められた値

CO2消火設備の設計濃度の根拠は消防法施行規則第19条(ガス系消火設備の基準)に定められています。

防護区画のグループ分けと設計濃度

甲3の試験でよく問われるのが「どの用途の防護区画がどちらのグループか」という判定です。

グループ 主な対象防護区画 設計濃度
第1グループ 通信機器室、電子計算機室、自家発電設備室、変電設備室(キュービクル設置室)、蓄電池設備室 34vol%以上
第2グループ 上記以外の防護区画(倉庫、美術品保管室、指定可燃物を貯蔵・取り扱う場所等) 50vol%以上

電気・通信関係の設備室は第1グループ(34vol%)、それ以外は第2グループ(50vol%)と覚えると分類しやすくなります。第2グループの50vol%は、人が通常いない倉庫などに適用されることが多く、高濃度のCO2を想定した安全対策が特に重要です。

全域放出方式の薬剤量計算式の構造

CO2消火設備(全域放出方式)の必要薬剤量Qは、次の2つの要素を足し合わせて求めます。

Q(kg)= V(m³)× q₁(体積係数)+ A(m²)× q₂(開口部係数)

記号 意味
Q 必要薬剤量(kg)
V 防護区画の体積(m³)
q₁ 体積係数(kg/m³)。設計濃度と消火薬剤の種類によって施行規則第19条別表で定まる
A 常時開放された開口部の面積(m²)
q₂ 開口部係数(kg/m²)。設計濃度と消火薬剤の種類によって施行規則第19条別表で定まる

開口部補正量の考え方

薬剤放出中に開口部(隙間・開いた扉等)から外部にCO2が逃げ出すと、防護区画内の濃度が設計濃度を下回る可能性があります。開口部補正量は、この逃げ分を補うための追加薬剤量です。

  • 自動閉鎖装置で閉鎖される開口部:薬剤放出前に閉じるため、補正量の計算に算入しない
  • 常時開放される開口部(排気口・換気口で閉鎖できないもの):開口部面積に係数を掛けた補正量が必要

設計上は、できるだけ防護区画を密閉し開口部を最小化することで、必要薬剤量を抑えることができます。

設計濃度の判定と薬剤量の関係

設計濃度が高いほど必要薬剤量も多くなります。

設計濃度 体積係数(概略) 適用グループ
34vol% 比較的小さい(高圧式:約0.7〜0.8 kg/m³程度) 第1グループ
50vol% 比較的大きい(高圧式:約1.5〜1.6 kg/m³程度) 第2グループ

体積係数の正確な値は消防法施行規則第19条に添付された別表(薬剤量の計算に用いる係数表)によります。試験では係数が問題文中に与えられる場合があります。

計算問題の解き方の手順

甲3の製図問題・筆記問題で薬剤量計算が出た場合の解き方の流れは次のとおりです。

  1. 防護区画の用途からグループ(第1・第2)を判定する
  2. 防護区画の体積V(m³)を計算する(縦×横×高さ)
  3. 常時開放された開口部の面積A(m²)を確認する
  4. 問題文で与えられた体積係数q₁・開口部係数q₂を使ってQを計算する
  5. Qの単位(kg)を確認して答える

筆記問題での設計濃度の出題パターン

筆記の「構造・機能及び工事整備」「消防関係法令(類別)」では、次のような設計濃度に関する問題が出ます。

  • 「通信機器室に設置するCO2消火設備の設計濃度はいくらか」→ 答え:34vol%以上
  • 「防護区画のグループ分けで第1グループに該当するものはどれか」→ 答え:通信機器室・変電設備室等
  • 「設計濃度は消火濃度の何倍以上か」→ 答え:1.4倍以上

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出典:消防法施行規則第19条(不活性ガス消火設備に関する基準)・消防庁告示(不活性ガス消火設備の設置に係る技術上の基準)。
作成日:2026年11月5日

この記事を書いた人

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