消防設備士 甲種第3類(以下、甲3)の試験では、乙種第3類(乙3)にない「工事に関する法令」が出題されます。工事着工前の「着工届」の提出・工事中の「耐圧試験」・工事後の「完工検査(消防検査)」の流れは、甲種固有の出題範囲で、構造・機能及び工事整備の15問の中に含まれます。乙3を持っていて甲3を受験する方が特に注意が必要な範囲です。
この記事では、甲3の試験で出る工事関連の法令・着工届の提出期日・耐圧試験の基準・完工検査の手順を整理します。
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甲3の工事はなぜ届出が必要か
消防用設備等の工事は、消防法第17条の14に基づいて着工前に消防長(消防署長)に「着工届」を提出しなければなりません。これは消防設備の工事が人命に直結するため、設計・施工が法令に適合しているかを行政が確認するための仕組みです。
乙種消防設備士は整備・点検のみ(工事はできない)のため、乙3の試験では工事手続きの問題は出ません。甲3では着工届・設計書類の提出・完工後の検査まで問われます。
着工届の提出。工事開始10日前まで
消防用設備等の工事を着工する前に、管轄する消防署に着工届を提出する必要があります。消防法第17条の14の規定では次のとおりです。
| 届出の種類 | 提出先 | 提出時期 | 根拠法令 |
|---|---|---|---|
| 着工届(工事整備対象設備等着工届出書) | 消防長(消防署長) | 工事に着工しようとする日の10日前まで | 消防法第17条の14・消防法施行規則第33条の18 |
「10日前まで」という数値は試験の頻出ポイントです。工事当日や数日前ではなく、10日前までに提出が必要です。
着工届に記載する内容(消防法施行規則第33条の18の規定):
- 工事の施行場所・工事の種類(新設・増設・改造等)
- 設備等の種類・工事の概要
- 設計者・施工者の氏名と免状番号
- 着工・完工の予定日
工事の流れ。設計→着工届→施工→耐圧試験→検査
甲3が担当する消火設備の工事は次の流れで進みます。
| 段階 | 内容 | 法令上の要件 |
|---|---|---|
| ①設計 | 防護区画の条件から薬剤量・配管・機器の設計を行う | 消防法施行規則の基準に適合した設計 |
| ②着工届の提出 | 着工10日前までに消防署に届出書を提出する | 消防法第17条の14 |
| ③施工 | 配管工事・機器設置・電気配線工事を実施する | 法令に定める施工基準に従う |
| ④耐圧試験・作動試験 | 配管の耐圧試験・機器の作動試験を実施する | 消防法施行規則の試験基準に従う |
| ⑤完工後の検査(消防検査) | 消防署が完工した設備を検査する | 消防法第17条の3の2 |
| ⑥設備の引き渡し | 建物の防火管理者・関係者に設備の操作方法を説明して引き渡す | 設備の操作要領書・図面を提供 |
耐圧試験の基準
配管の耐圧試験は、配管が正常な圧力に耐えられるかを確認するために行います。甲3の試験では耐圧試験の方法・基準が問われることがあります。
耐圧試験の方法は次の2種類があります。
| 方法 | 内容 | 判定基準 |
|---|---|---|
| 水圧試験(水を使う) | 配管を水で満たして所定の圧力に加圧する | 指定した加圧時間(2分以上)維持して変形・漏れがないこと |
| 気圧試験(気体を使う) | 窒素等のガスで加圧する(水が使えない場合) | 漏れがないことを確認 |
CO2消火設備の配管は高圧に耐える設計が必要で、耐圧試験の圧力は消防法施行規則で定められています。試験では「水圧試験の加圧時間(2分以上)」や「試験方法の選択条件」が問われることがあります。
完工後の消防検査
工事が完了したあと、消防長(消防署長)が設備を確認する「消防検査」を受ける必要があります(消防法第17条の3の2)。
消防検査で確認される主な内容:
- 設備の種類・設置場所・設置方法が設計図・着工届の内容と一致しているか
- 設備が消防法施行規則の基準に適合しているか
- 設備の作動試験(起動・放射・警報の動作確認)
- 防護区画の密閉性・開口部の状況
消防検査で不適合が見つかると、是正を求められます。是正完了後に再検査を受けることになります。
非常電源の設置基準
甲3が扱う消火設備は、停電時でも動作できるよう非常電源の設置が必要です。非常電源の種類と設置基準も甲3の試験で出題されます。
| 非常電源の種類 | 有効時間 | 設置条件の目安 |
|---|---|---|
| 自家発電設備 | 30分以上 | 大規模施設・停電時に長時間動作が必要な設備 |
| 蓄電池設備 | 30分以上 | 自家発電と組み合わせて使う場合が多い |
| 非常電源専用受電設備 | 電力会社からの受電が可能な限り継続 | 二回線受電等の条件あり |
有効時間「30分以上」は試験の頻出数値です。非常電源の有効時間が30分以上確保できることが消防法施行規則で求められています。
甲3の法令(共通)で出る工事関連の問題
消防関係法令(共通)では、甲種消防設備士が担う工事に関する手続きの問題も出ます。
- 着工届の提出先(消防長・消防署長)と提出期限(着工10日前まで)
- 設備の設置・変更の届出(消防法第17条の3)
- 甲種消防設備士の責務(工事できる設備の範囲・免状の更新)
- 消防検査の申請(工事完了後の手続き)
乙3では「整備・点検」に関する法令が中心でしたが、甲3では「工事」に関する法令も加わります。乙3で覚えた法令知識をベースに、工事手続きの部分を追加で学習することが効率的な対策方法です。
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出典:消防法第17条の14(着工届)・消防法第17条の3の2(消防検査)・消防法施行規則第33条の18(着工届の記載事項)。
作成日:2026年11月5日

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