「看護師の人材紹介サイトに、登録につながるLP(ランディングページ)を作りたい。でも費用の相場がまったく分からない」
この記事は、そんな方に向けて書いています。
LP制作の料金は、調べれば調べるほど分からなくなります。5万円と書いてある会社もあれば、100万円を超える会社もある。同じ「LP制作」という言葉なのに、20倍も差があるのです。
私は営業の仕事を20年しており、発注する側としても、制作する側としても、この手の見積もりをたくさん見てきました。結論から言うと、LP制作の費用は「何をどこまで頼むか」でほぼ決まります。相場という一つの正解があるのではなく、頼む範囲によって妥当な金額の帯が変わる、というのが実態です。
この記事では、見積もりの中身を一つずつ分解しながら、「自分の場合はどの帯が妥当なのか」を判断できるようになることを目指します。
そもそもLPは、ホームページと何が違うのか
費用の話に入る前に、言葉を整理しておきます。ここが曖昧なまま見積もりを取ると、会社ごとに違うものの金額を比べることになってしまうからです。
ホームページは、会社の情報を幅広く載せる「事務所」のようなものです。会社概要、サービス一覧、お知らせ、採用情報。訪れた人が自分の見たいページを選んで回遊します。
一方LP(ランディングページ)は、目的を一つに絞った「1枚もののチラシ」に近い存在です。看護師人材紹介なら、目的は「看護師さんに登録してもらうこと」。その一点に向かって、ページの上から下まで一直線に設計します。余計なメニューを置かないのも、途中で他のページに逃げてしまわないようにするためです。
この違いは費用にも表れます。ホームページは「ページ数×単価」で膨らみやすいのに対して、LPは1枚に集中するぶん、ページ数は少なくても1枚あたりの設計の密度が高くなります。「1ページなのに、なぜこの金額?」と感じたら、それは枚数ではなく設計に対する費用だと考えると、見積もりの見え方が変わるはずです。
また、広告をかけて集客する前提のLPと、検索やSNSから自然に来てもらう前提のLPでも、作り方は少し変わります。見積もりを取るときに「広告は使う予定ですか」と聞かれるのはこのためで、逆にこれを聞いてこない制作会社には、少し注意したほうがよいかもしれません。
費用はおおよそ3つの帯に分かれます
制作会社やフリーランスの料金ページをいくつも見比べていくと、LP制作の費用はおおよそ次の3つの帯に分かれています。金額はあくまで目安の幅で、依頼内容によって前後します。
| 帯 | 費用の目安 | 主な依頼先 | 含まれることが多いもの |
|---|---|---|---|
| ①小規模 | 5〜30万円ほど | フリーランス・小規模の制作者 | デザインとコーディング。原稿や写真はこちらで用意することが多い |
| ②中規模 | 30〜60万円ほど | 中小の制作会社 | 構成の提案・原稿作成・デザイン・公開まで一式 |
| ③大規模 | 60万円〜 | 広告代理店・マーケティング会社 | 市場調査・広告運用・公開後の改善までセット |
ここで大事なのは、「高い帯ほど良いLPができる」わけではないということです。
③の帯は、LPそのものよりも「広告を運用しながら改善し続ける体制」にお金を払っています。月に何十万円も広告費をかけて求職者を集める計画なら妥当ですが、「まずは1枚、登録につながるページが欲しい」という段階なら、明らかに過剰です。
逆に①の帯は、金額だけ見ると魅力的ですが、「原稿はお客様でご用意ください」という条件が付いていることが多くあります。実は、ここが一番の落とし穴です。次の章で説明します。
見積もりの中身を分解してみる
LP制作の見積もりは、だいたい次の要素でできています。見積書に全部が書かれているとは限りませんが、頭の中でこの分解ができると、金額の妥当性を判断しやすくなります。
1. 構成(何をどの順番で載せるか)
LPの成果を一番左右する部分です。看護師さんがページを開いてから登録ボタンを押すまで、どんな順番で何を見せるか。ここの設計が甘いと、デザインがきれいでも登録は増えません。
安い見積もりでは、この工程が「テンプレートに流し込む」だけになっていることがあります。打ち合わせで「構成はどうやって決めますか」と聞いてみると、その会社が構成をどれだけ重視しているかが分かります。
2. 原稿(文章を誰が書くか)
見積もりの差が一番出やすい部分です。
「原稿支給」と書かれていたら、文章はこちらで書く前提です。これが想像以上に大変で、私の経験では、LP制作が途中で止まる原因の多くは、デザインではなく原稿です。「原稿をお願いします」と言われたまま数ヶ月放置され、結局公開されなかった、という話は珍しくありません。
社内に文章を書ける人がいて時間も取れるなら「原稿支給」で費用を抑えるのは合理的です。そうでないなら、原稿込みの見積もりを選ぶほうが、結果的に安くつくことが多いです。
3. デザインとコーディング
見た目を作り、Webページとして動く形にする工程です。ここは制作者による品質の差はもちろんありますが、費用差ほどの成果差は出にくい部分でもあります。スマホでの見やすさ(看護師さんの多くはスマホで見ます)だけは必ず確認してください。
4. 公開作業(サーバー・ドメイン)
作ったページをインターネット上に公開する作業です。自社サイトの中に置くのか、新しくドメインを取るのかで手間が変わります。見積もりに含まれているか、含まれていない場合は誰がやるのかを確認しておくと、後で揉めません。
5. 公開後の保守・更新
意外と見落とされますが、LPは公開してからが本番です。文言の修正、求人状況に合わせた更新、写真の差し替え。この対応が「都度見積もり」なのか「月額に含まれる」のかで、運用のしやすさが大きく変わります。月額保守の相場は、内容にもよりますが数千円から数万円まで幅があります。
更新が必要になる場面は、実際に運用してみると想像より多いものです。たとえば、掲載していたキャンペーンの期限が切れた。紹介実績の数字を最新に直したい。問い合わせ先の電話番号が変わった。どれも数分で終わる小さな修正ですが、修正の窓口がないと「古い情報が載ったまま放置されるページ」になってしまいます。古い情報が残ったページは、看護師さんから見ると「このサービス、今も動いているのかな」という不安材料になります。
保守契約を選ぶときは、金額そのものより「月に何回まで・どの範囲まで対応してもらえるか」「依頼してから反映までどのくらいかかるか」を確認してください。文字修正だけの軽いプランでも、窓口があるとないとでは、ページの鮮度がまったく違ってきます。
費用が上下する5つの分かれ目
同じ会社に頼んでも、条件によって見積もりは変わります。主な分かれ目は次の5つです。
①ページの長さ。縦に長い1枚ページか、短めのシンプルなページか。長いほど原稿量・デザイン量が増えます。長ければ良いわけではなく、伝えることが整理されていれば短くても成果は出ます。
②原稿を誰が書くか。前の章の通り、ここが一番の差です。
③写真素材。プロカメラマンの撮影を入れると数万円〜十数万円が加わります。ただ、看護師向けのページでは、フリー素材の笑顔写真より、実際の職場や社員の写真のほうが信頼につながります。撮影費をかけない場合でも、スマホで撮った実際の写真を使うほうが、素材集の写真よりも効果的なことが多いです。
④フォームの仕組み。登録フォームを自社のシステムにつなぐのか、メール受信だけでよいのか。連携が複雑になるほど費用が上がります。
⑤広告運用込みかどうか。リスティング広告(検索結果に出す広告)の運用まで頼むと、制作費とは別に運用手数料(広告費の20%前後が一般的とされます)がかかります。
見積もりを取るとき、そのまま使える質問リスト
相見積もりを取るとき、金額だけを見比べても判断できません。含まれる範囲が会社ごとに違うからです。次の質問をそのまま投げると、各社の見積もりを同じ土俵で比べられるようになります。
「原稿はどちらが書きますか。こちらが書く場合、どこまで用意すればいいですか」
一番大事な質問です。「原稿支給」の5万円と「原稿込み」の30万円は、比べる対象ではありません。
「構成はどうやって決めますか。ヒアリングの時間はどのくらい取りますか」
テンプレートに流し込むだけなのか、事業を理解した上で設計するのかが、この答えで分かります。
「公開後の修正は、何回まで・いくらでできますか」
公開して終わりの契約だと、文言を1行直すだけで数千円〜数万円の追加費用がかかることがあります。
「スマホでの表示は最適化されますか」
今どき当然と思われるかもしれませんが、格安の場合はパソコン版の縮小表示だけ、ということもあります。看護師さんの閲覧はスマホが中心なので、ここは譲れません。
「制作期間はどのくらいですか。何があると早く進みますか」
期間の答えそのものより、「何があると早く進むか」への答えに注目してください。具体的に答えられる会社は、制作の段取りがしっかりしています。
5つとも、答えに正解があるわけではありません。ただ、この質問への答え方で、その会社が「ページを納品する会社」なのか「成果を一緒に考える会社」なのかは、かなりはっきり見えてきます。
看護師人材紹介ならではの注意点
ここは他の業種のLPと違う、この業界特有の話です。制作会社選びにも関わるので、発注前に押さえておいてください。
許可番号の表示
有料職業紹介事業は厚生労働大臣の許可制で、許可を受けると許可番号が交付されます。LPにこの番号と事業者名をきちんと表示することは、法令順守の面でも、求職者からの信頼の面でも基本です。制作会社がこうした業界の決まりを知らない場合、こちらから指示する必要があります。
「お祝い金」の扱い
厚生労働省の指針改正(2021年4月施行)により、職業紹介事業者が就職お祝い金などの金銭を提供して求職者を勧誘することは原則禁止になっています(出典:厚生労働省の職業紹介事業者向け指針。詳細は厚生労働省サイトの「職業紹介事業」のページでご確認ください)。古いLPの文面を参考に「お祝い金あり」と書いてしまうと指針違反になるおそれがあります。
数字の根拠
「満足度No.1」「転職成功率○%」のような数字は、根拠がないまま載せると景品表示法(優良誤認)に触れるおそれがあります。載せるなら調査の出典と時期をセットで。これは制作会社任せにせず、発注側が最終確認すべきポイントです。
費用を抑える3つの工夫
予算が限られている場合、次の3つで費用を抑えられます。
①素材を自分たちで集めておく。職場の写真、社員の声、実際にあった転職エピソード。これらが揃っているだけで、制作側の工数は大きく減りますし、何よりページの中身が濃くなります。
②伝えたいことを箇条書きで渡す。完成した原稿でなくてよいのです。「うちの強みはこれ」「よくある質問はこれ」と箇条書きで渡せば、原稿込みのプランでも打ち合わせ回数が減り、スムーズに進みます。
③最初から完璧を目指さない。LPは公開してからの反応を見て直すものです。最初に大きな金額をかけて「完成品」を作るより、まず標準的なものを公開して、反応の良い訴求に寄せていくほうが、合計の費用対効果は高くなります。
よくある失敗を3つだけ
発注側・制作側の両方を見てきた中で、繰り返し目にしてきた失敗を3つ挙げておきます。どれも金額の大小とは関係なく起きます。
失敗①:安さで選んで、公開までたどり着かない
一番安い見積もりを選んだものの、「原稿をお願いします」の段階で社内が止まり、半年経ってもページが公開されない。支払った着手金だけが残る。原稿を書く時間と体制が社内にあるか、契約前に冷静に見積もってください。ここで言う費用は、お金だけでなく担当者の時間も含みます。
失敗②:高く払えば成果が出ると思い込む
大きな予算をかけて立派なページを作ったのに、登録が増えない。調べてみると、そもそもページを見に来る人がいなかった、というケースです。LPは「見に来た人を登録に変える」道具であって、人を連れてくる道具ではありません。検索で見つけてもらうのか、広告を出すのか、SNSから誘導するのか。入口の計画とセットで考えないと、どんなに良いページでも空振りします。
失敗③:担当者の「好み」で直し続ける
公開前の確認段階で、社内の偉い人の好みに合わせて修正を重ねるうちに、当初の設計が崩れていくパターンです。「もっと情報を足したい」「この色は好きじゃない」。気持ちは分かるのですが、ページを見るのは社内の人ではなく看護師さんです。直したい箇所が出たら「これは看護師さんの登録にとってプラスか」という一つの物差しで判断すると、ページは崩れません。
相場より大事なこと
最後に、金額の話から少し離れます。
私は営業の現場に20年おり、採用する側として何百人もの応募書類や面接を見てきました。その経験から言えるのは、人は条件の一覧では動かないということです。
給与、休日、福利厚生。条件はどの紹介会社のページにも並んでいます。並んだ条件が同じなら、選ばれる決め手は「このサービスに登録したら、自分の転職がうまくいきそうだ」と想像できるかどうかです。
看護師さんの転職は、人生の大きな決断です。夜勤の負担、人間関係、家庭との両立。その不安に寄り添う言葉があるページと、機能の説明だけのページでは、同じ費用をかけても結果がまったく変わります。
だから、制作会社を選ぶときは、金額と同じくらい「こちらの事業の話をどれだけ聞こうとするか」を見てください。ヒアリングもそこそこに「作れます、いくらです」と返してくる相手より、「登録した看護師さんにどんな転職をしてほしいですか」と聞いてくる相手のほうが、良いページを作ります。
私たちの場合
参考までに、私たちfufumumu_designの費用もお伝えしておきます。
介護・医療分野の採用まわりに特化してLP制作を行っており、制作費は10〜15万円、公開後の月額保守は5,500円からです。原稿の作成込み、やりとりはメールのみで完結します。この記事で言う①と②の間くらいの位置づけで、「構成と原稿はプロに任せたいが、大きな予算はかけられない」という方に選んでいただいています。
介護施設の採用について書いた記事もあります。人材紹介の費用感を施設側の視点から見た内容なので、あわせてどうぞ。
▶ 介護施設の採用ガイド(まとめ記事)
LPの費用は、頼む範囲で決まります。まずは「自分たちはどこまで自分でやれるか」を整理してから見積もりを取ると、金額に振り回されずに済みます。この記事がその整理の助けになれば嬉しいです。


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