移動式クレーン 定格総荷重と定格荷重の違いを図解

問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
► 移動式クレーン運転士 過去問アプリ

移動式クレーンを扱う試験で必ず出題されるのが「定格総荷重」と「定格荷重」の違いです。どちらも荷重に関する用語ですが、意味が異なり、混同すると失点につながります。両者の定義・計算式・試験頻出ポイントをわかりやすく整理します。

定格総荷重とは

定格総荷重(Rated Gross Load)とは、移動式クレーンが安全に吊り上げられる荷重の最大値です。フックやスリング等のつり具の重量を含んだ値で、アウトリガーの張り出し幅・ジブ傾斜角・作業半径などの条件によって変化します。

クレーン等安全規則の定義では、「その構造および材料ならびにジブの傾斜角および長さに応じて負荷させることができる最大の荷重」とされています。

条件 定格総荷重への影響
アウトリガー最大張り出し 定格総荷重は最大になる
アウトリガー張り出し縮小 定格総荷重は減少する
ジブ傾斜角を大きく(立てる) 作業半径が縮まり定格総荷重増加
ジブ傾斜角を小さく(寝かせる) 作業半径が広がり定格総荷重減少

定格荷重とは

定格荷重(Rated Load)とは、定格総荷重からつり具(フック・スリング・シャックル等)の重量を差し引いた値です。実際に吊り上げることのできる荷物の重量の上限を意味します。

計算式:定格荷重 = 定格総荷重 − つり具の重量

つり具の重量は機種や作業条件によって異なりますが、標準的なフックで数十kg〜数百kgの場合があります。作業計画を立てる際は必ずつり具重量を差し引いて計算することが必要です。

具体的な計算例

以下の例で確認しましょう。

項目 数値
定格総荷重 5.0 t
フック重量 0.1 t
スリング重量 0.3 t
定格荷重 4.6 t(= 5.0 − 0.1 − 0.3)

このケースでは定格総荷重5.0 tのクレーンでも、実際には4.6 tまでしか荷物を吊れないことになります。

荷重表(性能曲線表)の読み方

移動式クレーンには、機種ごとに「荷重表」または「定格総荷重線図(性能曲線表)」が用意されています。横軸に作業半径、縦軸に定格総荷重が記載されており、アウトリガーの張り出し幅ごとに曲線が示されています。

作業前には必ず荷重表を確認し、その作業条件での定格総荷重を読み取った上で、つり具重量を引いた定格荷重の範囲内で作業することが必要です。

試験では「荷重表をどのように活用するか」という問いも出題されます。

試験でよく出る問題パターン

  • 「定格総荷重とは何か」:つり具を含む最大吊り上げ荷重(クレーン等安全規則第1条)
  • 「定格荷重と定格総荷重の大小関係」:定格総荷重 ≥ 定格荷重(つり具重量分だけ定格総荷重のほうが大きい)
  • 「定格荷重を超えた作業はどうなるか」:クレーン等安全規則違反・過負荷制限装置が作動
  • 「アウトリガー半張り出しで定格総荷重はどうなるか」:最大張り出し時より減少する

出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第1条・安全衛生技術試験協会 公表試験問題

定格総荷重が変化するケース

定格総荷重は固定値ではなく、作業条件によって変化します。同じクレーンでも以下の条件が変わると定格総荷重は変動します。

  • 作業半径の変化:ジブを寝かせて作業半径を大きくすると定格総荷重は低下します。安全な吊り作業のためには、必ず荷重表で使用条件下の定格総荷重を確認することが必要です。
  • ジブ長さの変化:ジブを短くすると同じ傾斜角でも作業半径が縮まり、定格総荷重が向上します。逆にジブを伸ばすと作業半径が広がるため注意が必要です。
  • アウトリガー張り出し幅の変化:アウトリガーを最大限張り出した状態と半張り出し状態では定格総荷重が異なります。荷重表には張り出し幅ごとの曲線が描かれています。

過負荷防止装置の役割

移動式クレーンには過負荷防止装置(過負荷制限装置)が搭載されており、定格総荷重を超えた荷重が加わると自動的に動作を停止またはアラームを発します。クレーン等安全規則では、つり上げ荷重が3t以上の移動式クレーンに過負荷防止装置の設置が義務付けられています。

過負荷防止装置があるからといって定格総荷重を超えた作業を前提にすることは禁止されています。装置は緊急停止の最終手段であり、通常の運転では定格荷重の範囲内で作業することが基本です。

定格荷重と積載荷重の違い

定格荷重と混同しやすいのが「積載荷重」です。積載荷重とはトラックや床などに積載できる最大重量を指し、クレーンの定格荷重とは別の概念です。試験ではこの用語の違いも問われることがあります。

定格荷重はあくまでもクレーンが安全に吊り上げられる荷物の重量上限を意味します。作業計画では定格荷重の範囲内で吊り荷の重量を設定し、ワイヤロープや玉掛け用具の安全係数も合わせて確認することが求められます。

作業前の確認事項

移動式クレーンで作業を開始する前には、以下の確認が必要です。

  1. 作業半径・ジブ傾斜角・アウトリガー張り出し幅を決定する
  2. 荷重表(定格総荷重線図)でその条件の定格総荷重を読み取る
  3. 定格総荷重からつり具重量を引いて定格荷重を算出する
  4. 吊り荷の重量が定格荷重以内であることを確認する
  5. 余裕が少ない場合はジブ傾斜角を大きくするか作業半径を縮小する

出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第1条・第74条・安全衛生技術試験協会 公表試験問題

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
Uncategorized
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました