移動式クレーン試験の力学問題:モーメント・合力・安全係数の解き方

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移動式クレーン運転士試験の「力学に関する知識」科目では、モーメント・合力・つり合い・荷重の種類を問う問題が出題されます。計算が必要な問題もありますが、使う公式はシンプルです。基本の「M = F × L(モーメント = 力 × 距離)」を理解すれば、多くの問題に対応できます。

モーメントとは何か

モーメントとは、ある点(支点)を回転させようとする力のことです。クレーンでは「転倒モーメント」として扱われます。

M(モーメント)= F(力)× L(支点からの距離)

力(F)が大きいほど、支点からの距離(L)が大きいほど、モーメントは大きくなります。「遠くほど力が大きくなる」というてこの原理と同じ考え方です。

クレーンの転倒モーメントとつり合い

クレーンが転倒しないためには「転倒モーメント ≤ 安定モーメント」が必要です。

モーメントの種類 計算式の例
転倒モーメント(転倒側) つり荷重量(W)× 作業半径(R)
安定モーメント(安定側) 機体重量(M)× 支持幅の半分(d)

作業半径が大きくなると転倒モーメントが増えるため、定格総荷重を小さく制限する必要があります(アウトリガーを最大張り出しにすると支持幅が広がり安定モーメントが増加します)。

てこのつり合い問題の解き方

試験では「棒のA点に○kgの荷、B点に△kgの荷、支点はC点→棒は水平を保つか?」という形式の問題が出ます。

解き方:左回りのモーメント = 右回りのモーメント が成立すれば水平を保ちます。

例:支点から左に2mの位置に60kgの荷、右に3mの位置に○kgの荷。

左側モーメント = 60kg × 2m = 120kgm

右側が120kgmになればよい → ○ = 120 ÷ 3 = 40kg

合力と分力

複数の力が働いている場合の合計の力を「合力」、一つの力を複数の方向に分けたものを「分力」といいます。

同じ方向の場合は単純に加算します。異なる方向の場合はベクトルの合成が必要です。試験では「2本のワイヤロープで斜め方向に荷をつる場合のロープ張力」という問題が出ます。

2本のワイヤロープが荷の重さWに対して、各ロープの角度が垂直から θ 傾いている場合、各ロープの張力Tは:

T = W ÷ (2 × cos θ)

ロープの開き角度が大きくなるほど(θが大きくなるほど)、各ロープにかかる張力は大きくなります。これは「広げてつると負荷が増える」という現場の常識と一致します。

荷重の種類:静荷重と動荷重

クレーンにかかる荷重には「静荷重」と「動荷重」があります。

荷重の種類 内容 例
静荷重 静止状態の荷重(重力のみ) 吊り荷・クレーン自重
動荷重 加速・衝撃・慣性による荷重(静荷重より大きくなる) 急加速・急停止・荷振れ時

実際の作業では静荷重より動荷重のほうが大きくなる場合があります。急に巻き上げを開始したり急停止したりすると衝撃荷重が発生し、定格総荷重を超える動荷重がかかることがあります。滑らかに操作することで動荷重の増加を抑えられます。

安全係数の計算

安全係数とは「破断(切断)荷重 ÷ 使用荷重(実際にかかる荷重)」で求めます。

クレーン等安全規則ではワイヤロープの安全係数は6以上(第213条)、フック等の安全係数は5以上(第214条)と定めています。

例:切断荷重12tのワイヤロープで2tの荷をつる場合 → 安全係数 = 12 ÷ 2 = 6。安全係数6以上を満たしている。

試験でよく問われるポイントまとめ

  • モーメント M = F × L(力×距離)
  • てこのつり合い:左右のモーメントが等しくなるとつり合う
  • ロープの開き角が大きいほど各ロープの張力は大きくなる
  • 動荷重は静荷重より大きくなる(急加速・急停止で増加)
  • 安全係数 = 切断荷重 ÷ 使用荷重。ワイヤロープ6以上・フック5以上

つり荷角度とロープ張力の計算問題

2本のワイヤロープで荷をつる場合、ロープの開き角度によって各ロープにかかる張力が変わります。試験では数値を代入した計算問題が出ます。

荷重W(kg)を2本のロープでつる場合、各ロープの張力T(kg):

T = W ÷ (2 × cos θ)(θはロープが垂直からなす角度)

開き角(2θ) 各ロープのθ cos θの近似値 張力(1tの荷の場合)
0°(垂直2本) 0° 1.0 0.5t
60° 30° 0.866 約0.577t
90° 45° 0.707 約0.707t
120° 60° 0.5 1.0t(荷と同じ)

開き角120°では各ロープに荷重と同じ大きさの張力がかかります。120°を超えるとロープ1本あたりの張力が荷重を超え、非常に危険な状態になります。

速度と加速度の関係

力学問題では速度・加速度・距離の計算も出ます。

F = m × a(ニュートンの第2法則:力 = 質量 × 加速度)

例:500kgの荷を2m/s²で加速させるのに必要な力:F = 500 × 2 = 1000N

重力加速度g = 9.8m/s²(試験では9.8または10を使うことが多い)

500kgの荷にかかる重力:500 × 9.8 = 4900N(≒ 4.9kN)

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業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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