移動式クレーンの定格総荷重と作業半径の関係:荷重表の読み方を解説

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移動式クレーンの「定格総荷重」と「作業半径」の関係は、試験の中でも計算・図表読み取り問題として頻繁に登場します。この関係を理解しておくと、実際の現場での安全作業にも直結します。ここでは定格総荷重・作業半径の定義と、荷重表の読み方を解説します。

定格総荷重とは何か

定格総荷重とは、移動式クレーンが安全につり上げられる最大の荷重のことです。クレーン等安全規則では「つり上げ荷重からつり具の重量に相当する荷重を差し引いた荷重」と定義されていますが、試験文脈では「フック・ワイヤロープ等のつり具を含んだ最大つり上げ荷重」として使われます。

つり荷そのものの重量だけでなく、フックやワイヤロープの重量も「つり上げている荷重」に含まれます。つり荷の重量がわかっていても、つり具の重量を加算した合計が定格総荷重以内に収まる必要があります。

作業半径とは何か

作業半径は「クレーンの旋回中心からフック(つり荷の中心)までの水平距離」です。ジブ(ブーム)の長さ・起伏角度によって変わります。

ジブの起伏角度 作業半径 定格総荷重
大きい(垂直に近い) 小さい(旋回中心に近い) 大きい
小さい(水平に近い) 大きい(遠くなる) 小さい

ジブを倒して(起伏角度を小さくして)遠くに伸ばすほど、転倒モーメント(荷重×作業半径)が大きくなります。機体が転倒しないように、作業半径が大きくなるほど定格総荷重を小さく制限するのがこの関係の基本原理です。

転倒モーメントと安定モーメントの関係

クレーンの転倒を防ぐために「転倒モーメント」と「安定モーメント」のバランスが重要です。

モーメントの種類 内容
転倒モーメント つり荷重量×作業半径。値が大きいほど転倒しやすい
安定モーメント 機体重量×支持幅。アウトリガーを張り出すほど大きくなる

「安定モーメント>転倒モーメント」が保たれていれば転倒しません。定格総荷重の荷重表は、この条件を満たす最大のつり上げ荷重を作業半径ごとに示したものです。

荷重表の読み方と実際の使い方

荷重表(定格総荷重表・性能曲線表)はアウトリガーの張り出し幅と作業半径を組み合わせた表またはグラフで示されます。

荷重表の読み方の手順:

  1. アウトリガーの張り出し幅を確認する(最大張り出し・中間・最小)
  2. ジブの起伏角度からその作業半径を確認する
  3. 表の「アウトリガー張り出し幅」の列と「作業半径」の行が交差するマスの値を読む
  4. その値(定格総荷重)がつり荷+つり具の合計重量以上であることを確認する

「定格荷重」と「定格総荷重」の違い

試験では「定格荷重」と「定格総荷重」の使い分けも問われます。

用語 意味
定格荷重 つり具の重量を差し引いた、つり荷だけの最大重量
定格総荷重 つり具(フック・ワイヤロープ等)の重量を含んだ最大つり上げ荷重

「過負荷禁止」の規定(クレーン等安全規則第69条)は定格荷重を基準とします。つり荷の重量が定格荷重を超えてはなりません。フックやワイヤロープが重くなるほど、つり荷に使える余裕が少なくなる点に注意が必要です。

作業半径に影響する要因

作業半径はジブの長さや起伏角度だけでなく、以下の要因でも変わります。

  • ジブを伸ばす(テレスコピックジブの場合)と作業半径が大きくなる場合がある
  • 機体の傾斜(水平でない場合)があると作業半径の計算がずれる
  • 荷の振れによって動的な荷重増加(動荷重)が発生する

機体を水平に設置し、アウトリガーを確実に接地させてから作業半径を確認することが、安全作業の基本です。

試験でよく問われるポイントまとめ

  • 定格総荷重はつり具を含む最大つり上げ荷重
  • 作業半径が大きいほど定格総荷重は小さくなる(転倒モーメントが増加するため)
  • アウトリガーを最大張り出しにするほど定格総荷重が大きくなる(安定モーメントが増加するため)
  • 荷重表はアウトリガー張り出し幅×作業半径で定格総荷重を決める
  • 過負荷禁止(第69条)の基準は定格荷重(つり具重量を含まない)

荷重表を使った作業前確認の流れ

実際の作業前に荷重表を使って安全を確認する手順を整理します。

  1. つり荷の重量を確認する:荷の重量+つり具(ワイヤロープ・フック等)の重量の合計を算出する
  2. アウトリガーの張り出し幅を確認する:全張り出し・中間・最小のいずれかを確認する
  3. 作業半径を確認する:設置場所から作業点までの水平距離を測定する
  4. 荷重表を参照する:アウトリガー張り出し幅と作業半径から定格総荷重を読む
  5. 荷重を比較する:つり荷重量(つり具込み)が定格総荷重以内であることを確認する

「定格総荷重以内ならOK」ですが、余裕が少ない場合は作業方法の見直しを検討することが実務上重要です。地盤が軟弱な場合はアウトリガーの沈下により作業半径が変化することもあります。

アウトリガー張り出し幅と定格総荷重の関係

アウトリガーを最大限に張り出すことで安定モーメントが増加し、同じ作業半径でも大きな荷重をつり上げることができます。逆に、アウトリガーを縮めた状態(最小張り出し)では定格総荷重が大幅に小さくなります。

アウトリガー張り出し 安定性 定格総荷重
最大張り出し 最も安定 最大
中間張り出し 中程度 中程度
最小張り出し(格納) 最も不安定 最小

アウトリガーを張り出さない状態(タイヤ支持のまま)で作業することは原則禁止です。アウトリガーを確実に接地させてから作業を開始することが安全作業の基本です。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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