移動式クレーン運転士の試験科目と配点:4科目の出題内容を完全解説

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移動式クレーン運転士の学科試験は4科目・各40点・合計160点満点

移動式クレーン運転士の学科試験(安全衛生技術試験協会実施)は、4科目各10問・各40点・合計160点満点の五肢択一式です。合格基準は「各科目40%以上(16点以上)かつ総合60%以上(96点以上)」です。4科目すべてに足切りが設けられていることが、この試験の最大の特徴です。

科目別の内容と配点

科目名 問題数 配点 合格最低点 主な出題内容
移動式クレーンに関する知識 10問 40点 16点 種類・構造・機能・安全装置・作業
関係法令 10問 40点 16点 労働安全衛生法・クレーン等安全規則
原動機及び電気に関する知識 10問 40点 16点 電動機・制御装置・油圧装置
力学に関する知識 10問 40点 16点 力・モーメント・荷重・安全係数

科目1:移動式クレーンに関する知識の出題内容

この科目は移動式クレーン特有の知識を問います。クレーン・デリック運転士の「クレーンに関する知識」と名称は似ていますが、出題内容は大きく異なります。

移動式クレーン特有のテーマとして、以下が公表問題で出題されています。

  • クレーンの種類と型式:ラフテレーンクレーン・トラッククレーン・クローラクレーン・浮きクレーン・積載形トラッククレーン等の特徴と違い
  • アウトリガー:H形・X形の種類、張り出しと定格総荷重の関係
  • 定格総荷重と作業半径:作業半径が大きくなると定格総荷重が小さくなる原理
  • ジブの種類:箱形(ブーム)・トラス(ラチス)構造の違い
  • 安全装置:過負荷防止装置・モーメントリミッタ・巻過防止装置・傾斜角指示装置
  • 上部旋回体の構造:旋回装置・カウンタウエイト・巻上装置の仕組み

科目2:関係法令の出題内容

主な根拠法令は「労働安全衛生法」「クレーン等安全規則」です。暗記が中心の科目ですが、数字の正確さが求められます。

  • 就業制限:つり上げ荷重5t以上→免許、1t以上5t未満→技能講習、1t未満→特別教育
  • 過負荷禁止:クレーン等安全規則第69条(定格荷重を超えた荷のつり上げ禁止)
  • 作業中止基準:瞬間風速10m/s超で作業中止(同規則第74条の3)
  • 暴風後の点検:瞬間風速30m/s超の後は作業再開前に点検
  • 検査証の有効期間:2年(製造検査または使用検査合格後交付)
  • 定期自主検査:年1回(1年超使用のもの)・月1回・作業開始前の点検
  • 設置届・製造許可:つり上げ荷重3t以上が製造許可の対象

科目3:原動機及び電気に関する知識の出題内容

4科目のなかで最も難しいと感じる方が多い科目です。電気系統と油圧系統の両方が出題範囲になります。

電気系統の主な出題テーマ

  • 三相誘導電動機の構造と原理(固定子・回転子・すべり)
  • 同期速度の計算:Ns(rpm)= 120×周波数÷極数
  • スターデルタ起動:始動電流・始動トルクともに直入れの1/3
  • インバータ制御:周波数を変えることで速度を無段階調整
  • 電磁ブレーキ:無励磁作動型(停電・電源OFF時にブレーキがかかる)
  • 制御盤の構成:マスターコントローラ・接触器・抵抗器

油圧系統の主な出題テーマ

  • 油圧ポンプ(ギヤポンプ・プランジャポンプ等)の種類と特徴
  • 油圧シリンダ(ジブの起伏・アウトリガーの張り出しに使用)
  • リリーフバルブ(回路内の最高圧力を制限する安全弁)
  • 作動油の特性(粘度・温度特性・引火点)
  • PTOの仕組み(走行用エンジンからクレーン作業用の動力を取り出す装置)

科目4:力学に関する知識の出題内容

数式を使った計算問題が含まれますが、使う公式はシンプルです。

  • 力とモーメント:M = F × L(てこのつり合い・クレーン転倒モーメント等)
  • 合力と分力:ベクトルの合成・斜め吊り時のワイヤロープ張力
  • 荷重の種類:静荷重(自重・積載荷重)・動荷重(加速・衝撃による荷重増加)
  • 安全係数:ワイヤロープ6以上(第213条)・フック5以上(第214条)
  • ワイヤロープ廃棄基準:素線の10%以上切断または公称径の7%超の直径減少(第215条)
  • 重心と安定:吊り荷の重心・クレーン自体の安定(転倒モーメントと安定モーメント)

試験時間と試験会場

学科試験の試験時間は2時間30分です。40問を150分で解くため、1問あたり3〜4分の余裕があります。見直し時間を含めても、時間切れになることはほとんどありません。

試験会場は安全衛生技術試験協会の各センター(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州)です。試験は年間を通じて複数回実施されており、希望の日程・会場を選べます。

科目免除の対象者

以下の免許保持者は、申請することで一部科目が免除されます(受験申請時に免許証コピーを添付)。

保持免許 免除科目
クレーン・デリック運転士(床上運転式を含む) 原動機及び電気・力学
揚貨装置運転士 力学のみ

クレーン・デリック運転士免許をすでに持っている方は、原動機・電気と力学の2科目が免除になります。残り2科目(移動式クレーン知識・法令)に集中して勉強できるため、取得のハードルが大きく下がります。

各科目の問題数と合格ライン早見表

科目 問題数 足切りライン 合格目標
クレーンに関する知識 10問 4問以上 7問以上
関係法令 10問 4問以上 7問以上
原動機及び電気に関する知識 10問 4問以上 6問以上
クレーンの運転のために必要な力学 10問 4問以上 6問以上
合計 40問 — 24問以上

科目ごとの出題傾向の特徴

各科目には特徴的な出題パターンがあります。試験対策として把握しておきましょう。

  • クレーンに関する知識:機種の違い(ラフター・トラック・クローラー等)、各部名称と機能、安全装置の名称と役割が頻出。用語をテキストで確認してから公表問題を解く
  • 関係法令:条文の数値(つり上げ荷重・検査頻度・安全係数等)の記憶が決め手。法令問題は「正しいものを選べ」「誤っているものを選べ」の両パターンがある
  • 原動機及び電気:電気の計算(オームの法則・モーターの回転数等)と内燃機関の仕組みが中心。計算問題は公式を覚えれば安定して得点できる
  • 力学:モーメント・重心・荷重計算が頻出。力の分解・合成の基本を理解してから応用問題に取り組む

本番試験での時間配分の目安

40問・制限時間2時間30分(150分)の試験です。

1問あたり平均3.75分が使えます。

計算問題は5〜7分かかることもあるので、わからない問題は飛ばして後回しにすることが大切です。全問解答してから見直しに15分程度確保するペースを意識しましょう。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

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