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一級ボイラー技士試験の「燃料及び燃焼」科目で最も計算問題が出題されるのが、理論空気量・空気比(過剰空気係数)の計算です。公式と計算手順を体系的に理解しましょう。
燃焼の基本:完全燃焼と不完全燃焼
燃料が完全燃焼すると炭素はCO₂、水素はH₂O、硫黄はSO₂になります。空気が不足すると不完全燃焼してCOが発生し、熱効率が低下するだけでなく、CO中毒・爆発の危険があります。
理論空気量(L₀)の計算
燃料を完全燃焼させるために理論上必要な最小の空気量を理論空気量といいます。
液体・固体燃料(元素分析値から計算)
燃料の元素組成(炭素C、水素H、酸素O、硫黄S)から理論酸素量L₀’(m³/kg)を求め、空気中の酸素比率(21%)で割ります:
- 理論酸素量:L₀’ = 1.867C + 5.6H – 0.7O + 0.7S(m³N/kg)
- 理論空気量:L₀ = L₀’ / 0.21 ≒ 8.89C + 26.7H – 3.33O + 3.33S(m³N/kg)
ここでC・H・O・Sは燃料1kgあたりの各元素の質量(kg)です。
計算例:A重油(C=0.87、H=0.12、O=0.01)
- L₀’ = 1.867×0.87 + 5.6×0.12 – 0.7×0.01 = 1.624 + 0.672 – 0.007 = 2.289 m³N/kg
- L₀ = 2.289 / 0.21 = 10.9 m³N/kg
気体燃料(成分から計算)
気体燃料はガスの成分比率(%)から理論酸素量を求めます:
- CH₄の燃焼:CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O → 2 m³O₂/m³CH₄
- C₃H₈の燃焼:C₃H₈ + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O → 5 m³O₂/m³C₃H₈
空気比(m)と過剰空気量
実際の燃焼では理論空気量では完全燃焼しないため、理論量より多い空気を供給します。
空気比の定義
空気比 m = 実際の空気量(L)/ 理論空気量(L₀)
m = 1.0 が理論量(現実には完全燃焼しない)
m > 1.0 が実際の燃焼(過剰空気がある状態)
標準的な空気比の目安
| 燃料・バーナー種類 | 適正空気比 |
|---|---|
| 重油(ガンタイプバーナー) | 1.2〜1.4 |
| 重油(ロータリーバーナー) | 1.1〜1.3 |
| ガス燃料 | 1.1〜1.2 |
| 微粉炭 | 1.2〜1.3 |
排ガス分析から空気比を求める
オルザット式ガス分析計でCO₂・O₂・COを測定し、空気比を算出できます。
CO₂濃度から空気比を求める式
m = CO₂max / CO₂ × (CO₂/(CO₂+CO))
ここでCO₂maxは理論空気量での最高CO₂濃度(重油では約15〜16%)。
O₂濃度から空気比を求める(簡略式)
m = 21 / (21 – O₂%)
計算例:排ガスのO₂が3%の場合
m = 21 / (21 – 3) = 21/18 = 1.17
空気比と熱効率の関係
空気比が高すぎると排ガス熱損失が増え熱効率が下がります。空気比が低すぎると不完全燃焼になります。最適な空気比を維持することが燃焼管理の基本です。
- 空気比が高い(m=1.5以上):排ガス量増加→排ガス損失増大→熱効率低下
- 空気比が低い(m=1.0以下):不完全燃焼→CO発生・すすの付着・熱効率低下
理論燃焼ガス量と排ガス量
燃料を燃焼させると発生する排ガスの量を理論燃焼ガス量(G₀)といい、実際の排ガス量Gは:
G = G₀ + (m-1)×L₀(m³N/kg)
空気比が高いほど排ガス量が多くなります。
試験でよく出る計算問題
- 排ガスO₂濃度から空気比を計算する:m = 21/(21-O₂%)
- 理論空気量の計算(元素分析値から)
- 空気比と過剰空気量の関係(実際供給空気量 = m×L₀)
- CO₂max(最高炭酸ガス濃度)の概念
まとめ
- 理論空気量L₀:燃料を完全燃焼させるのに理論上必要な最小空気量
- 空気比m = L/L₀(実際供給量/理論量)。正常燃焼ではm > 1.0
- O₂濃度から空気比:m = 21/(21-O₂%)
- 適正空気比:重油1.2〜1.4、ガス1.1〜1.2
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則・JIS K 2205・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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