問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
▶ 二級ボイラー技士 過去問アプリ(無料)
ボイラーの熱効率を正しく計算するには「燃料の発熱量」の意味と高発熱量・低発熱量の違いを理解する必要があります。実務でもボイラー技士試験でも、発熱量の単位や高発熱量と低発熱量(真発熱量)の使い分けは基礎知識として問われます。燃料の種類(重油・ガス・石炭)によって発熱量の桁も異なるため、代表値とあわせて整理します。
発熱量とは何か
発熱量(熱量)とは、燃料 1 kg(または 1 m³)を完全燃焼させたときに放出される熱エネルギーの量です。単位は kJ/kg(液体・固体燃料)または kJ/m³(気体燃料)が SI 単位系で使われます。
燃焼反応では燃料中の水素(H)が燃えて水(H₂O)が生成します。この水が蒸気として排出される場合と、液体として回収される場合で、取り出せる熱量が変わります。これが高発熱量と低発熱量の違いです。
高発熱量と低発熱量(真発熱量)
| 用語 | 英語 | 定義 |
|---|---|---|
| 高発熱量(高位発熱量) | Higher Heating Value(HHV) | 燃焼で生じた水蒸気がすべて液体水として凝縮した場合に得られる熱量。蒸発潜熱を含む |
| 低発熱量(低位発熱量・真発熱量) | Lower Heating Value(LHV) | 燃焼で生じた水蒸気が蒸気のまま排出された場合の熱量。蒸発潜熱を含まない |
高発熱量 = 低発熱量 + 水蒸気の蒸発潜熱(凝縮熱)
実際のボイラーでは排気ガスに含まれる水蒸気はそのまま煙突から排出されるため、凝縮熱を回収できません。そのためボイラー効率の計算には原則として低発熱量(真発熱量)を使います。
主な燃料の低発熱量(代表値)
| 燃料種 | 低発熱量(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| A重油 | 39,700 kJ/kg前後(約38〜40 MJ/kg) | 一般ボイラーで最も広く使われる液体燃料 |
| C重油(引火点高・高粘度) | 41,000 kJ/kg前後 | 発熱量は高いが予熱が必要(粘度が高い)。使用量が多い産業ボイラー向け |
| 灯油 | 43,500 kJ/kg前後 | A重油より硫黄分が少ない。小型ボイラーに使われる |
| 天然ガス(LNG・メタン系) | 35,000〜40,000 kJ/m³前後(成分による) | 気体燃料。単位がm³であることに注意 |
| LPガス(プロパン) | 95,000 kJ/m³前後(プロパン基準) | カロリー/m³が高い。単位体積あたりでは高い値 |
| 石炭(一般炭) | 24,000〜28,000 kJ/kg前後 | 液体・気体燃料より低発熱量が小さい。大型発電用ボイラーに使用 |
試験では数値の正確な暗記より「A重油の低発熱量は約40,000 kJ/kg程度」という桁感覚と、液体燃料 vs 気体燃料の単位の違い(kJ/kg vs kJ/m³)が問われます。
ボイラー効率の計算での使い方
ボイラー効率 η(%)の式は次の通りです。
η = G × (h₂ − h₁) ÷ (B × HL) × 100
ここで HL は低発熱量です。高発熱量(HH)を使うと分母が大きくなり、ボイラー効率が実態より低い値に計算されます。試験問題では「発熱量」と書かれている場合は低発熱量と解釈して計算します。
計算例
A重油を55 kg/h消費し、実際蒸発量800 kg/h、蒸気と給水の比エンタルピ差が2,450 kJ/kgのとき、ボイラー効率を求めよ。A重油の低発熱量を39,700 kJ/kgとする。
η = 800 × 2,450 ÷ (55 × 39,700) × 100
= 1,960,000 ÷ 2,183,500 × 100
≒ 89.8 %
燃料の種類と性状
ボイラー用燃料の種類と特徴を整理します。
| 分類 | 代表燃料 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 液体燃料 | A重油・C重油・灯油 | 流動性があり計量・供給しやすい。引火点(A重油60℃以上・C重油60℃以上)以上に予熱して使用する場合がある。硫黄分による腐食(低温腐食)に注意 |
| 気体燃料 | 都市ガス・天然ガス・LPガス | 空気との混合が容易で燃焼制御しやすい。漏洩爆発のリスクがある。着火前に未燃ガスが溜まらないようパージ(換気)が必要 |
| 固体燃料 | 石炭・木材チップ・バイオマス | 貯蔵しやすい反面、灰の処理が必要。微粉炭バーナーを使う大型ボイラーが主な用途 |
引火点・燃焼点・発火点の違い
液体燃料の安全管理でよく出てくる3つの温度用語を整理します。
| 用語 | 定義 | A重油の目安 |
|---|---|---|
| 引火点 | 可燃性蒸気が空気と混合し、外部の点火源(火花・炎)によって引火する最低温度 | 60℃以上(JIS規格) |
| 燃焼点 | 引火後に燃焼を継続できる最低温度(引火点より少し高い) | 70℃前後 |
| 発火点(自然発火点) | 外部からの点火なしに自然発火する温度 | 約250〜400℃(油種による) |
試験では「A重油の引火点は60℃以上」「C重油の引火点は70℃以上」が問われます。また「引火点と発火点は同じ」という誤りの選択肢に注意してください。
試験で間違えやすいポイント
- 「ボイラー効率の計算には高発熱量を使う」は誤り。低発熱量(真発熱量)を使う
- 「A重油の低発熱量は約10,000 kJ/kg」は誤り。約40,000 kJ/kgが正しい桁(4倍異なる)
- 「気体燃料の発熱量の単位はkJ/kg」は誤り。気体はkJ/m³(体積基準)で表す
- 「引火点が高いほど危険」は誤り。引火点が低いほど常温で引火しやすく危険。A重油はC重油より引火点が低い
この記事のまとめ
- 高発熱量=水蒸気の凝縮熱を含む。低発熱量=含まない。ボイラー効率計算には低発熱量を使う
- A重油の低発熱量は約39,700 kJ/kg。気体燃料の単位はkJ/m³(体積基準)
- 引火点:A重油60℃以上・C重油60℃以上。発火点は引火点とは全く異なる(自然発火温度)
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則(e-Gov法令検索)・ボイラー構造規格(昭和47年労働省告示第33号)・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
▶ 二級ボイラー技士 過去問アプリ(無料)

コメント