訪問看護のBCP(業務継続計画)、研修と訓練は年1回以上が義務。

訪問看護のBCP(業務継続計画)、研修と訓練は年1回以上が義務。 福祉事業の開業と運営





訪問看護のBCP(業務継続計画)、研修と訓練は年1回以上が義務。

訪問看護のBCP(業務継続計画)、研修と訓練は年1回以上が義務。

訪問看護ステーションのBCP(業務継続計画)に関する研修と訓練は、それぞれ年1回以上の実施が義務です。BCP自体の策定(計画書の作成)は令和3年度から義務化されており、策定した計画を職員に周知し、実際に動けるか確認する研修・訓練が別途義務になっています。

この記事では、BCPの研修・訓練の義務の根拠・内容・記録について整理します。

BCPに関する3つの義務。策定・研修・訓練。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(居宅基準)第26条の2は、訪問看護ステーションに次の義務を定めています。

BCP策定:感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための業務継続計画(BCP)を策定すること。

研修・訓練の実施:BCPに従い業務を行うことができるよう、従業者に対し、業務継続計画に係る研修及び訓練を定期的に実施すること。

BCPの見直し:定期的にBCPの見直しを行い、必要に応じてBCPの変更を行うこと。

(出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第26条の2)

健康保険法に基づく指定訪問看護(医療保険適用分)についても、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(第10条の2)に同様の義務があります。

研修・訓練の頻度は年1回以上。

BCPの研修・訓練の頻度は、「定期的に」という条文に対して、厚生労働省の解釈通知で年1回以上が求められています。感染症・食中毒対策(年2回以上)より頻度は低いですが、計画書があるだけで「体制が整っている」とは見なされません。

研修(知識の周知)と訓練(実際の動作確認)の両方を年1回以上実施することが求められています。

訪問看護のBCPには「感染症BCP」と「自然災害BCP」の2種類がある。

訪問看護のBCPは、対象とするリスクによって2種類あります。

感染症BCP:新型インフルエンザ・COVID-19等の感染症が流行した場合に、訪問看護サービスをどう継続するかの計画。職員の感染・欠勤が重なった場合の優先対応・振り分け・応援職員の確保が中心になります。

自然災害BCP:地震・水害・台風等の自然災害が発生した場合の計画。建物の被害・交通の途絶・ライフラインの停止を想定し、利用者への連絡・優先訪問・避難所への対応などを定めます。

厚生労働省は「業務継続計画作成支援ツール(訪問看護版)」を公開しており、感染症BCP・自然災害BCPのひな形を提供しています。これを基に自施設の実情に合わせて修正して作成するのが現実的な方法です。

BCP研修で扱う内容。

BCP研修では、策定したBCPの内容を職員が理解・把握することが目的です。扱う内容の例は次のとおりです。

  • BCPに定めた緊急連絡網・連絡体制の確認(誰がどの順で連絡するか)
  • 平時から備えておくべき対応(水・食料・発電機等の備蓄・利用者情報のバックアップ)
  • サービス提供の優先度の考え方(医療依存度・独居・家族の状況等から)
  • 感染症拡大時に職員が欠勤した場合の対応手順
  • 職員が自身の安全を守りながら利用者を支援するための行動基準
  • BCPの内容・更新状況の周知

BCP訓練で扱う内容。机上訓練と実地訓練。

訓練の形式には「机上訓練」と「実地訓練」の2つがあります。

机上訓練:シナリオ(「震度6の地震が発生した」「スタッフ3名が感染した」等)を示し、BCPに基づいた対応をグループで考え確認する訓練。実際の行動は伴わないが、BCPの抜け穴・現場との乖離を発見しやすい。

実地訓練(実動訓練):実際に緊急連絡を流す・電話連絡のルートを試す・鍵の場所・物資の場所を確認する等、実際の動作を模擬的に行う訓練。

年1回の訓練として、机上訓練を実施するケースが多いです。シナリオを事前に準備し、30〜60分程度で実施できます。

BCPの見直し義務。訓練後に見直しを行う。

BCPは、策定後も定期的な見直しが義務です。訓練を実施した後に「想定と実際が違った点」「手順の不明確な点」を洗い出し、計画書に反映することが求められています。

訓練→課題抽出→BCPの修正→次の研修で周知、というサイクルで回すことが、実質的なBCPの維持管理につながります。

運営指導で確認されること。

BCPについて運営指導で確認される内容の例は次のとおりです。

  • BCP(感染症版・自然災害版)が文書として整備されているか
  • 年1回以上の研修を実施しているか(実施記録・参加者リスト)
  • 年1回以上の訓練を実施しているか(実施記録・訓練の内容)
  • 職員がBCPの存在と概要を把握しているか

「計画書はあるが職員が知らない」「研修はしたが記録がない」という状態は、指摘対象になります。

研修・訓練キットを活用する。

訪問看護ステーションのBCP研修教材・確認テスト・委員会の議題案・記録様式をまとめたキットを公開しています。感染症BCP・自然災害BCPの両方に対応した内容で、訪問看護特有の観点(医師との連携・優先訪問の考え方等)も含まれています。

▶ 訪問看護ステーション 法定研修・訓練キット


出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第26条の2・健康保険法に基づく指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準第10条の2・厚生労働省「業務継続計画作成支援ツール(訪問看護版)」・厚生労働省「訪問看護事業所における業務継続に向けた取組の支援について」。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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