データマネジメント試験(仮称)のシラバス(案)Ver.0.1(IPA・2026年8月公表)では、科目Aの出題範囲が「重点分野」と「その他の分野」に分かれています。重点分野は3つあります。
- データマネジメント(中分類8・9・10の一部)
- データ分析・データ利活用(中分類10の一部)
- AI利活用(中分類10の一部)
この記事では、この重点3分野について、シラバスに記載された小分類と用語例をもとに、試験で押さえるべき内容を整理します。
重点分野は「データマネジメント」「データ分析・データ利活用」「AI利活用」の3本柱です
IPAが公表しているシラバス(案)では、データマネジメント試験(仮称)の科目Aについて「知識問題(多肢選択・CBT)」の出題の中心を重点分野においています。ただし、分野別の出題数は未公表です(2026年9月時点)。
| 重点分野 | 関連する中分類(シラバス案) | 主な内容 |
|---|---|---|
| データマネジメント | 中分類8・9 | データの収集・整備・管理の仕組みとプロセス |
| データ分析・データ利活用 | 中分類10(一部) | 統計・機械学習の基礎とビジネス活用 |
| AI利活用 | 中分類10(一部) | 生成AI・AI活用の基礎と倫理 |
出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)シラバス(案)Ver.0.1」(2026年8月公表)をもとに整理。
「データマネジメント」重点分野は5つの小分類で構成されています
シラバス(案)が「データマネジメント」として掲げている重点分野の小分類は次のとおりです。用語例はシラバス原文から引用します。
データアーキテクチャ
データアーキテクチャとは、組織全体でデータをどのように収集・保管・流通・活用するかの設計方針のことです。試験ではデータ基盤の全体像に関する問いが想定されます。
シラバスの用語例:データアーキテクチャ、データ基盤、データリネージ、マスタデータ管理、データカタログ
- データリネージ:データの発生源から加工・移動・利用に至るまでの追跡可能な流れのこと。データの出所と変換の経緯を示す
- マスタデータ管理(MDM:Master Data Management):顧客・製品・取引先など複数のシステムで共通して使われる重要データを一元的に管理する仕組み
- データカタログ:組織が保有するデータの種類・場所・意味・オーナーシップを整理したインデックス。データを探して使いやすくするための仕組み
データモデリング
データモデリングとは、対象の業務や概念をデータの構造として定義する作業です。データベース設計の基礎となります。
シラバスの用語例:概念データモデル、論理データモデル、物理データモデル、ER図、正規化
- 概念データモデル:ビジネスの観点から「何がある」かを示すモデル。技術的な詳細を持たない
- 論理データモデル:概念モデルを具体化し、エンティティ・属性・リレーションを定義したモデル。DBMSに依存しない
- 物理データモデル:特定のDBMS上でどのように実装するかを示すモデル(テーブル定義・インデックスなど)
- 正規化:データの冗長性・更新異常をなくすために、テーブルを一定のルールに従って分割すること。第1〜第3正規形が基本
データ品質
データ品質は、データが正確で・完全で・一貫性があり・タイムリーに利用できる状態を維持することです。実務では「ゴミデータ(ゴミを入れればゴミが出る)」という問題として現れます。
シラバスの用語例:データ品質、データクレンジング、データプロファイリング、データスチュワード
- データクレンジング(データクリーニング):不正確・重複・欠損・形式不統一なデータを検出して修正・削除する作業
- データプロファイリング:データの構造・内容・品質を統計的に分析して把握すること(欠損率・値の分布・一意性など)
- データスチュワード:組織内でデータの定義・品質・利用ルールを管理・維持する役割の担当者。データガバナンスの実務担当
メタデータ管理
メタデータとは「データについてのデータ」のことです。例えば「このCSVファイルは顧客データで、2025年1月更新・管理者は営業部」という情報がメタデータです。
シラバスの用語例:メタデータ、ビジネスメタデータ、技術メタデータ、運用メタデータ
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| ビジネスメタデータ | ビジネスの観点でのデータの意味・定義 | 「顧客ID」=自社で付与した一意の識別番号 |
| 技術メタデータ | データの格納形式・構造に関する情報 | 型=INT・桁数=8・NULL不可 |
| 運用メタデータ | データの生成・更新・利用履歴 | 最終更新日・更新者・データソース名 |
出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)シラバス(案)Ver.0.1」の用語例をもとに整理。
データガバナンス
データガバナンスとは、組織でデータを適切に管理・活用するためのポリシー・ルール・責任体制の仕組みです。単なる技術施策ではなく、組織的なマネジメントの枠組みです。
シラバスの用語例:データガバナンス、データオーナー、データスチュワード、CDO(Chief Data Officer)
- データオーナー:特定のデータについて、その品質・利用方針・アクセス権限に責任を持つ部門またはその代表者
- CDO(最高データ責任者):組織全体のデータ戦略・ガバナンスに責任を持つ経営層の役割
「データ分析・データ利活用」の重点分野は統計とビジネス活用が柱です
シラバス(案)では「データ分析・データ利活用」についても重点分野として位置づけています。ITパスポートや基本情報では扱わなかった、より実践的な統計・分析の概念が加わります。
シラバスの用語例:記述統計、推測統計、相関分析、回帰分析、統計的仮説検定、データウェアハウス、ETL、BI(Business Intelligence)
- 推測統計:標本データから母集団全体の特性を推定・検定する統計の方法。区間推定・仮説検定が含まれる
- 回帰分析:変数間の関係を式として表し、予測に使う方法。単回帰(説明変数1つ)・重回帰(説明変数複数)がある
- ETL:Extract(抽出)・Transform(変換)・Load(格納)の略。複数のシステムのデータを分析用DBに取り込む処理
- データウェアハウス(DWH):分析目的で時系列・大量のデータを蓄積する専用のDB。OLAPやBIツールと組み合わせて使う
- BI(ビジネスインテリジェンス):データを分析・可視化してビジネスの意思決定に活かすための技術・ツール・手法の総称
「AI利活用」の重点分野は生成AIと倫理が中心です
シラバス(案)では「AI利活用」も重点分野に含まれています。AIの技術的な詳細より、ビジネスパーソンがAIを使う上での基礎知識と倫理的判断を問う内容が想定されます。
シラバスの用語例:機械学習、深層学習(ディープラーニング)、生成AI、プロンプトエンジニアリング、RAG(検索拡張生成)、ハルシネーション、AIガバナンス、責任あるAI
- RAG(Retrieval-Augmented Generation):生成AIが外部のデータソースを検索して取得した情報を参照しながら回答を生成する技術。最新情報や企業内情報を活用できる
- ハルシネーション(幻覚):生成AIが事実に基づかない情報を、もっともらしく出力してしまう現象。AIの出力を無検証で使う際のリスク
- プロンプトエンジニアリング:生成AIへの指示(プロンプト)を設計・最適化して、意図した出力を得るためのスキル・手法
- AIガバナンス:AIの開発・運用において、リスクを管理し、倫理的・法的に適切な状態を保つための組織的な仕組み
その他の分野(重点外)にも出題範囲があります
シラバス(案)では重点分野のほかに「その他の分野」として、データベース(中分類17)・セキュリティ(中分類24)・法規(中分類27・28・29)が出題範囲に含まれています。
| 分野 | シラバス用語例(一部) |
|---|---|
| データベース(技術) | リレーショナルDB、SQL、NoSQL、トランザクション管理、ACID特性 |
| セキュリティ | 暗号化、アクセス制御、脆弱性対策、インシデント管理 |
| 法規・コンプライアンス | 個人情報保護法、匿名加工情報、著作権法、不正競争防止法 |
出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)シラバス(案)Ver.0.1」の用語例をもとに整理。
特に個人情報保護法では、匿名加工情報の定義・作成要件は頻出テーマです。データマネジメントの文脈でも、個人データの適切な取り扱いは実務の中心課題のひとつです。
科目Bは「ケース問題」で、長文を読んで判断する問題形式です
DM試験(仮称)の科目Bは、IPAが公表しているサンプル問題の形式を見ると、業務の場面設定を記述した長文(3〜5段落・表含む)を読み、最も適切な対応・判断を選ぶ形式です。
科目Bの出題範囲は「データマネジメントの技能を問う4大項目」で構成されています。サンプル問題では、データオーナーとデータスチュワードの役割分担(問1)・個人データの第三者提供と委託の区別(問2)が出題されました。
科目Bの対策は「用語の暗記」より「場面に対してどう判断するか」の読解・応用力が問われます。サンプル問題を通じてこの問題形式に慣れておくことが学習上有効です。
学習の優先順位は、重点分野から始めます
シラバス(案)で「重点分野」として明示されている3分野(データマネジメント・データ分析・AI利活用)から学習を始め、その後にデータベース・セキュリティ・法規の順で押さえるのが効率的です。
重点分野の中でも「データマネジメント」の5項目(データアーキテクチャ・データモデリング・データ品質・メタデータ管理・データガバナンス)は、試験名称そのものに直結しており、他の分野の学習とも関係が深いです。最初にこの5項目のフレームを頭に入れてから学習を広げると、全体が見通しやすくなります。
なお、合格基準・分野別の出題数・受験料はIPAから未公表です(2026年9月時点)。試験の最新情報はIPA公式サイトでご確認ください。
AI問題演習ツールで重点分野の理解を確認できます
このサイトでは、データマネジメント試験(仮称)の出題分野に対応したAI問題演習ツールを提供しています。IPAのシラバス(案)・サンプル問題(科目A 3問・科目B 2問)をベースに、AIが毎回異なる問題を出題します。1日3問まで無料です。
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まとめ:重点3分野の5項目から押さえるのが効率的です
データマネジメント試験(仮称)の重点分野についてまとめます。
- 科目Aの重点は「データマネジメント」「データ分析・データ利活用」「AI利活用」の3分野
- 「データマネジメント」分野は、データアーキテクチャ・データモデリング・データ品質・メタデータ管理・データガバナンスの5項目が柱
- データカタログ・データリネージ・データスチュワード・MDMなどの用語はシラバスに明示されている
- 「データ分析」は統計の基礎・ETL・DWH・BI、「AI利活用」はRAG・ハルシネーション・AIガバナンスが中心
- 科目Bはケース問題形式で、知識より判断力が問われる
- 合格基準・分野別出題数・受験料は2026年9月時点で未公表。試験の正確な情報はIPA公式サイトで確認する


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