危険物乙4の指定数量は品名ごとに違う。早見表と覚え方を整理する。

危険物乙4の指定数量は品名ごとに違う。早見表と覚え方を整理する。 資格

危険物取扱者 乙4 AI問題集(無料で150問)

法令・物理化学・性質消火の3科目、確認済みの問題150問を無料で繰り返し解けます。解説には消防法・危険物の規制に関する政令の条番号を記載。

問題を解く(無料)→

危険物乙4の法令15問のうち2〜3問は指定数量と倍数計算が関係します。指定数量は危険物令別表第3で品名ごとに定められており、ガソリン200L・灯油1,000L・軽油1,000L・重油2,000Lなど品名によって大きく異なります。倍数が1以上になると消防法の規制が始まり、0.2以上かつ1未満の範囲では市町村条例の規制がかかります。

指定数量とは何か

指定数量とは、危険物を貯蔵・取り扱う場合に消防法上の規制の対象となる数量の基準です(消防法第9条の2)。指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う施設は、消防法に基づく許可を受けた製造所等でなければなりません。

指定数量未満であっても、指定数量の5分の1以上(0.2倍以上)の危険物は市町村の火災予防条例等で規制されます。

第4類危険物の指定数量 早見表

以下は危険物令別表第3に定める第4類危険物の指定数量です。

品名 性質(水溶性の有無) 指定数量 代表物質
特殊引火物 — 50L ジエチルエーテル、二硫化炭素
第1石油類 非水溶性 200L ガソリン、ベンゼン、トルエン
第1石油類 水溶性 400L アセトン、ピリジン
アルコール類 — 400L メタノール、エタノール、プロパノール
第2石油類 非水溶性 1,000L 灯油、軽油
第2石油類 水溶性 2,000L 酢酸、プロピオン酸
第3石油類 非水溶性 2,000L 重油、クレオソート油
第3石油類 水溶性 4,000L エチレングリコール、グリセリン
第4石油類 — 6,000L ギヤー油、シリンダー油
動植物油類 — 10,000L ヤシ油、アマニ油

出典:危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)別表第3。

指定数量の覚え方のポイント

すべての数値を暗記しようとすると大変ですが、以下の2つのルールを覚えておくと整理しやすいです。

ルール1:非水溶性より水溶性の指定数量が大きい(同じ品名区分内で)

第1石油類は非水溶性200L・水溶性400Lというように、同じ品名区分でも水溶性のほうが指定数量が2倍大きく設定されています。第2石油類(1,000L・2,000L)・第3石油類(2,000L・4,000L)も同じパターンです。水溶性は火災時に水で希釈されやすく、一般に危険性がやや低いという考え方が反映されています。

ルール2:品名区分が上がるほど(危険性が低くなるほど)指定数量が大きくなる

特殊引火物(引火点が最も低い・最も危険)が50Lで最小、動植物油類が10,000Lで最大です。危険性が高い物質ほど少量から規制がかかると覚えてください。

指定数量の倍数計算とは

同一の場所(施設)で複数の品名を貯蔵・取り扱っている場合、指定数量の倍数は以下の式で計算します(消防法第9条の2第2項)。

倍数=(品名Aの貯蔵量 ÷ 品名Aの指定数量)+(品名Bの貯蔵量 ÷ 品名Bの指定数量)+…

この合計が1以上になると消防法の規制対象(製造所等の許可が必要)になります。

倍数計算の例題1

ある場所でガソリン100L・灯油500Lを貯蔵している。指定数量の倍数はいくらか。

ガソリンの指定数量:200L  倍数:100 ÷ 200 = 0.5

灯油の指定数量:1,000L  倍数:500 ÷ 1,000 = 0.5

合計倍数:0.5 + 0.5 = 1.0 → 消防法の規制対象(1以上)

倍数計算の例題2

ある場所でアセトン(水溶性第1石油類)200L・エタノール(アルコール類)200Lを貯蔵している。指定数量の倍数はいくらか。

アセトンの指定数量:400L  倍数:200 ÷ 400 = 0.5

エタノールの指定数量:400L  倍数:200 ÷ 400 = 0.5

合計倍数:0.5 + 0.5 = 1.0 → 消防法の規制対象

試験でよく問われる倍数計算のパターン

試験では「倍数がちょうど1になるケース」「2つの品名を合算するケース」がよく出ます。計算自体は四則演算だけですが、各品名の指定数量が頭に入っていないと解けません。

よく出る品名とその指定数量をまとめると以下のとおりです。

物質名 品名区分 水溶性 指定数量
ガソリン 第1石油類 非水溶性 200L
ベンゼン 第1石油類 非水溶性 200L
アセトン 第1石油類 水溶性 400L
メタノール アルコール類 水溶性 400L
エタノール アルコール類 水溶性 400L
灯油 第2石油類 非水溶性 1,000L
軽油 第2石油類 非水溶性 1,000L
重油 第3石油類 非水溶性 2,000L

指定数量と「貯蔵・取扱いの制限」の関係

指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う施設は、消防法に基づき市町村長等の許可を受けた製造所・貯蔵所・取扱所でなければなりません(消防法第10条第1項)。無許可での貯蔵・取扱いは消防法違反です。

指定数量未満で倍数が0.2以上1未満の場合は、消防法ではなく市町村の火災予防条例等の規制を受けます。家庭でガソリンを缶に保管するケースなどがこれに該当します。

指定数量の倍数が0.2未満(すなわち指定数量の5分の1未満)の場合は、条例の規制も受けません。ただし、危険物を不注意に扱ってよいということではありません。

指定数量以上になった時の手続きの流れ

倍数が1以上になると消防法の規制対象になります。新たに危険物を指定数量以上貯蔵・取り扱う施設を設置する場合の手続きの流れは以下のとおりです。

ステップ 内容 法的根拠
①設置許可申請 施設の所在地を管轄する市町村長等に設置許可を申請する 消防法第11条第1項
②技術審査・工事 許可後に工事を実施する(許可前の工事は違反) 消防法第11条第1項
③完成検査申請 工事完了後に完成検査を申請し、技術基準に適合しているか確認を受ける 消防法第11条第3項
④完成検査済証の交付・使用開始 検査に合格し検査済証が交付されてから施設を使用開始できる 消防法第11条第5項

「設置許可→工事→完成検査→使用開始」の順番が重要で、この順を守らないと消防法違反になります。試験では「許可前に工事を始めてよいか」「完成検査なしに使用を始めてよいか」という問い方で出ることがあります。どちらも「できない」が正解です。

品名区分ごとの指定数量と倍数計算の練習パターン

試験では「2品名以上を組み合わせた倍数計算」がよく出ます。以下のパターンで練習しておくと対応しやすいです。

パターン1:非水溶性と水溶性の組み合わせ

ガソリン(非水溶性第1石油類・200L)80L + アセトン(水溶性第1石油類・400L)200L + 灯油(非水溶性第2石油類・1,000L)500L

倍数 = 80/200 + 200/400 + 500/1,000 = 0.4 + 0.5 + 0.5 = 1.4 → 消防法の規制対象

パターン2:倍数がちょうど1になるケース

エタノール(アルコール類・400L)200L + 重油(非水溶性第3石油類・2,000L)1,600L

倍数 = 200/400 + 1,600/2,000 = 0.5 + 0.8 = 1.3 → 消防法の規制対象

パターン3:倍数が1未満のケース

灯油(非水溶性第2石油類・1,000L)150L + 軽油(非水溶性第2石油類・1,000L)150L

倍数 = 150/1,000 + 150/1,000 = 0.15 + 0.15 = 0.30 → 条例規制(0.2以上1未満)

倍数が0.2以上1未満(指定数量の5分の1以上かつ指定数量未満)は「条例の規制」。倍数が0.2未満は規制なし。試験では「条例規制と消防法規制の境界」が問われることもあります(消防法第9条の2第1項・第2項)。

「同一品名を複数の施設に分けて貯蔵する」ケース

倍数計算は「同一の場所」での貯蔵・取扱いに適用されます。距離が離れた別の施設に分けて保管する場合は、原則として施設ごとに倍数を計算します。ただし、「同一の敷地内で連続または隣接している場合は同一の場所とみなす」という判断が試験問題の前提として設定されることがあります。

指定数量の倍数計算 よくある間違いTop3

試験本番でよく見られる計算ミスのパターンを整理します。

間違い1:水溶性と非水溶性を混同する

アセトン(水溶性第1石油類)の指定数量は400Lですが、ガソリン(非水溶性第1石油類)は200Lです。同じ「第1石油類」でも水溶性かどうかで倍数が変わります。問題文の「アセトン」「ガソリン」「エタノール」の区別をきちんと読んでから計算してください。

間違い2:倍数の合計が1をわずかに下回るケース

ガソリン100L(200Lの0.5倍)+灯油480L(1,000Lの0.48倍)の合計は0.98倍で、消防法の規制対象外(1未満)です。「0.5+0.5で1になるはず」と思い込んで誤答するケースがあります。倍数は各品名を計算してから合計することを徹底してください。

間違い3:「0.2以上1未満」の条例規制を「規制なし」と混同する

倍数が0.2以上1未満の場合は「消防法の規制は受けないが、市町村条例の規制は受ける」というのが正確な答えです。「0.5倍なら完全に規制なし」という選択肢が誤りである理由を説明できるように理解しておいてください(消防法第9条の2第1項)。

指定数量まとめ 試験直前チェックリスト

試験前日に確認すべき数値リストです。これだけは必ず暗記してください。

  • 特殊引火物:50L(ジエチルエーテル・二硫化炭素)
  • 第1石油類(非水溶性):200L(ガソリン・ベンゼン)
  • 第1石油類(水溶性)・アルコール類:400L(アセトン・メタノール・エタノール)
  • 第2石油類(非水溶性):1,000L(灯油・軽油)
  • 第2石油類(水溶性)・第3石油類(非水溶性):2,000L(重油)
  • 第3石油類(水溶性):4,000L
  • 第4石油類:6,000L
  • 動植物油類:10,000L

「非水溶性より水溶性の指定数量が2倍大きい」「品名区分が上がるほど指定数量が増える」という2つのルールを覚えておくと、細かい数値を忘れたときでも推測できます。

出典:消防法(昭和23年法律第186号)第9条の2・第10条・第11条。危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)別表第3。記事中の指定数量は同別表第3の数値です。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
資格
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました