ITパスポートは何から始めればよいか。属性別のスタート地点と、最初の1週間でやること。

ITパスポートは何から始めればよいか。属性別のスタート地点と、最初の1週間でやること。 資格

ITパスポートを初めて受験するとき、最初にやることは「試験の全体像を把握すること」と「自分の属性を確認すること」の2つです。この2点を最初に終わらせることで、自分に合ったスタート地点が決まります。

この記事では、ゼロからスタートする人が最初の一歩をどこから踏み出すかを、属性別に整理します。勉強の順番の詳細は「ITパスポートの勉強する順番」の記事で別途説明しています。ここでは「何をするかの前に、何から始めるかを決める」ことに絞ります。

最初にやること3つ

ITパスポートの勉強を始める前に、次の3つを順番に終わらせます。

①試験の全体像を把握する(30分)

IPA(情報処理推進機構)の公式ページで試験の概要を確認します。確認するのは次の4点だけで十分です。

  • 試験形式:CBT(コンピュータ)方式・120分・100問(採点は92問)
  • 合格基準:総合評価点600点以上かつ分野別各300点以上(1,000点満点)
  • 3つの分野:ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系
  • 現在の受験申込み期間と会場(12月末まで現行試験・2027年度から新試験)

この30分で「どんな試験か」の全体像がつかめます。

②自分の属性を確認する(10分)

次の3つの質問に答えて、自分がどのタイプかを確認します。

  • IT経験はあるか(業務でPC・システムを日常的に使っているか)
  • 文系・理系どちらか(高校・大学の専攻)
  • 1日に使える勉強時間はどのくらいか

この確認が、テキストから始めるか問題集から始めるかの分岐点になります。

③試験日(スケジュール)を先に決める

目標の試験日を最初に決めてしまいます。ITパスポートはCBT方式のため、全国のテストセンターで毎月受験できます(IPA)。試験日が決まると、逆算して1日あたりの勉強量が計算できます。なお、現行試験の申込みは2026年12月末までです。2027年以降は新試験に切り替わる予定(IPA公式)のため、現行試験で受けるか待つかを先に決めておく必要があります。

属性別のスタート地点

自分の属性に応じて、最初に使う教材と最初に読む分野が変わります。

属性 最初に使う教材 最初に触れる分野 準備期間の目安
IT経験なし・文系 テキスト(参考書)から始める。用語の概念理解が先 ストラテジ系(経営・法規)から入ると用語が身近に感じやすい 100〜150時間・2〜4か月
IT経験なし・理系 テキストと問題集を並行。テクノロジ系は数字の扱いに慣れている テクノロジ系の計算・仕組みから入ると進みやすい 80〜120時間・2〜3か月
IT経験あり(業務でPCを使う) 問題集中心。現状把握のため最初に模擬試験を1回解く 苦手な分野(ストラテジ系の法務・財務など)を先に確認 50〜80時間・1〜2か月
IT職(SE・インフラなど) 問題集のみでよい場合が多い。最初に模擬試験でスコアを確認 ストラテジ系(経営・法務)が盲点になりやすいので先に確認 30〜60時間・1か月前後

IT未経験の文系の人が「問題集だけでいい」と聞いて問題集から始めると、用語の意味が分からず進まなくなることがあります。まずテキストで用語の概念を把握してから問題演習に移るのが確実です。

テキストから始めるか問題集から始めるかの判断基準

次の判断基準を使って、どちらから始めるかを決めます。

条件 推奨する始め方
IT用語をほとんど知らない(プロトコル・DBMS・LAN などが分からない) テキストから始める
IT用語は聞いたことがある程度(意味はあいまい) 問題集を1〜2問解いて判断。解説を読んで理解できればそのまま問題集中心でよい
IT用語の意味が分かる・業務でシステムを使っている 問題集中心。理解できない問題の用語だけテキストで確認

最初の1週間でやること

最初の1週間は「勉強を始める準備の週」と考えます。この1週間でやることは2つです。

IPA公開問題を1回分(92問)解いてみる

IPA公式サイトで公開されている過去問を1回分解きます。採点して、どの分野が弱いかを確認します。最初から正解できなくて当然で、現状を把握することが目的です。解けた問題・解けなかった問題の分野を書き出しておきます。

シラバスの目次だけ読む

IPAのウェブサイトでシラバス(現行版Ver.6.5)の目次を読みます。全部を読む必要はなく、「こういう分野がある」という全体の地図をつかむことが目的です。これで、テキストを読むときに「今どこを学んでいるか」が分かるようになります。

1日のタイムテーブルの例

就業中の社会人が1日の中でどこに勉強時間を確保するかを、平日と休日で整理します。

時間帯 平日の例 休日の例
朝(通勤前・通勤中) スマートフォンで過去問5〜10問(15〜20分) テキスト読み込み・弱点分野の補強(30〜60分)
昼休み 前日に間違えた問題の解説を確認(10〜15分) 自由(無理に使わなくてもよい)
帰宅後・夜 問題演習または苦手分野テキスト(20〜30分) 過去問1回分(92問)通し演習(90〜120分)
1日の合計 45〜65分 2〜3時間

平日の合計が1時間に満たなくても、週5日続ければ週4〜5時間になります。休日の通し演習と合わせると週7〜10時間ペースを維持できます。

テキスト・問題集の選び方の基準

最初に使う教材を選ぶとき、次の2点を必ず確認します。

シラバスのバージョンが最新か確認する

ITパスポートのシラバスはVer.6.5が現行版です(IPA)。2〜3年以上前の出版のテキストは古いシラバスに基づいている場合があります。AI・データサイエンス・生成AI関連の用語は2022年以降のシラバス改訂で追加されており、古いテキストには含まれていないことがあります。購入前に「シラバスVer.6.5対応」「2024年版以降」と表示されているかを確認してください。

発行年と対応シラバスを確認する

発行年の目安 シラバスの対応 使える状況
2024〜2025年発行 Ver.6.3〜6.5対応が多い 現行試験(2026年12月まで)に使える
2022〜2023年発行 Ver.5〜6.2対応が多い AI・データサイエンス系の用語が一部不足の可能性
2021年以前発行 旧シラバス対応 現行試験への準備には向かない

準備期間別のアプローチの違い

使える期間によって、学習の進め方が変わります。

準備期間 対象者 アプローチ ポイント
2週間以内 IT経験あり・理系・短期集中できる 問題集のみ。最初の日に模擬試験でスコア確認。弱点だけ集中補強 テキストを読む時間はなし。問題演習で分からない用語だけ調べる
1か月 IT経験なし・社会人で忙しい 1週目:全体把握+模擬試験。2〜3週目:弱点補強。4週目:本番形式演習 苦手な分野だけテキストで確認。全部読もうとしない
2〜3か月 IT未経験・文系・初めて学ぶ テキスト通読 → 問題集 → 過去問 → 仕上げの4ステップ 早い段階で過去問に触れておく。テキスト読みに比重を置きすぎない
4か月以上 学習ペースが遅い・仕事が繁忙 週単位で分野を区切る。1週1分野のペースで進める 教材を絞って1冊を完走することを優先

最初によくある失敗とその対策

テキストを最初からすべて読もうとする

テキストを1ページ目から全部読もうとすると、全体量の多さに圧倒されて途中で止まることがあります。テキストは「辞書」として使い、問題演習で分からなかった用語を調べるために使うのが効率的な使い方です。最初から全部読む必要はありません。

苦手な分野を後回しにし続ける

各分野で300点以上が合格条件のため、得意な分野だけを伸ばしても合格できません。最初の模擬試験で苦手な分野を確認して、その分野から補強を始めるのが確実な進め方です。

教材を増やしすぎる

テキスト1冊・問題集1冊(またはアプリ)を中心にするのが、ITパスポートの標準的な勉強の形です。複数のテキストを用意したり、複数のアプリを試し続けたりすることに時間を使うと、実際の問題演習の時間が減ります。教材は最初に絞って、繰り返し使うことが重要です。

勉強の記録の取り方

何から始めるかを決めた後、進捗を記録しておくと立て直しがしやすくなります。最も簡単な方法は次の3点を記録することです。

  • その日に解いた問題数(IPA公開問題・問題集のページ数)
  • 正答率(全問・分野別)
  • 間違えた問題の分野(後でまとめて復習するために記録)

分野別の正答率を週1回確認すると、苦手な分野が可視化されます。ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系のどこが低いかを見て、次の週の学習の比重を調整します。試験まで残り2週間の時点で、どの分野も正答率60%以上になっていれば合格圏内に近づいています。

現行試験を受けるか2027年の新試験を待つかの確認

2026年12月末に現行のITパスポートの試験は一時休止し、2027年度から新試験に切り替わる予定です(IPA公式)。どちらを受けるかによって、使うテキストや問題集が変わります。

  • 現行試験(2026年12月末まで):現在市販されているテキスト・問題集がそのまま使える
  • 2027年の新試験:シラバスが変わるため、新試験対応の教材を待つ必要がある

「早く取得したい」「就職・転職・昇格の期限がある」場合は現行試験を選ぶのが確実です。急がない場合は、新試験対応の教材が揃ってから準備を始めることもできます。いずれにせよ、どちらの試験を受けるかを最初に決めておくことで、使う教材と準備期間が定まります。

まとめ

ITパスポートは何から始めるかを最初に決めることで、無駄なく準備を進められます。まず試験の全体像を把握し、自分の属性(IT経験・文理・勉強時間)を確認してから、テキスト先行か問題集先行かを判断します。

最初の1週間は、IPA公開問題で現状を把握してスタート地点を確認します。勉強の詳しい順番・各分野の攻略法については、「ITパスポートの勉強する順番」の記事で属性別に解説しています。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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