消防設備士 甲種第3類(以下、甲3)の試験では、防護区画の要件が出題されます。全域放出方式(防護区画全体に消火薬剤を放出する方式)を使うには、防護区画に一定の密閉性が必要で、開口部の処理・換気装置の停止・自動閉鎖装置の設置が消防法施行規則で定められています。これらの要件は法令類別(4問)と構造・機能及び工事整備(25問)の両方で問われます。
この記事では、甲3の試験で出る防護区画の条件を整理します。
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防護区画とは。全域放出方式の対象となる密閉空間
防護区画とは、消火設備で消火する対象となる空間(部屋)のことです。全域放出方式では、防護区画全体に消火薬剤を放出して区画内の濃度を設計濃度以上にすることで消火します。
全域放出方式が有効に機能するには、次の条件が必要です。
- 薬剤放射後に設計濃度が維持できる密閉性があること
- 薬剤が外部に漏れないよう開口部を処理すること
- 換気装置が動いていると薬剤が排気されるため、放射前に換気を止めること
防護区画の開口部の処理
防護区画に窓・ドア・換気口などの開口部がある場合は、消防法施行規則で定める次のいずれかの方法で処理します。
| 処理方法 | 内容 |
|---|---|
| 自動閉鎖装置で開口部を閉じる | 起動信号と連動して開口部を自動的に閉鎖する装置を設ける。薬剤放射前に閉まる |
| 開口部補正量を加算する | 開口部を閉じられない場合は、開口部から漏れる分の薬剤量を上乗せして計算する |
自動閉鎖装置が設けられている場合は開口部補正が不要です。開口部補正量を加算する場合は、開口部の面積(m²)×単位面積あたりの補正量(kg/m²)で計算します。
換気装置の停止。放射前に必ず停止
防護区画に換気・空調設備がある場合は、消火薬剤を放射する前に換気装置を停止させる必要があります(消防法施行規則で規定)。
換気装置を停止させない場合の問題:
- 薬剤が換気口から外に排気されて防護区画内の濃度が設計濃度に達しない
- 設計濃度に達しないと消火が不完全になる
「換気装置は放射前に停止させる」は試験の頻出ポイントです。起動信号と連動して換気装置を停止させる連動制御が一般的な方法です。
自動閉鎖装置の設置
自動閉鎖装置は、防護区画の開口部(ドア・換気口・ダンパー等)に設けられ、起動信号と連動して閉鎖します。
| 対象 | 自動閉鎖装置の種類 |
|---|---|
| ドア(防火戸) | 電磁解錠式・ガス圧式で自動的に閉まる防火戸 |
| 換気・空調のダンパー | 起動信号で閉まる防火ダンパー(FD) |
| 窓 | 電動開閉式の窓(起動信号で閉鎖) |
自動閉鎖装置は「薬剤放射前に動作する」ことが条件です。放射と同時または放射後に閉まるのでは間に合いません。製図問題や不備の指摘問題で、自動閉鎖装置の接続が間違っているパターン(放射後に閉まる接続)が出ることがあります。
防護区画の体積計算
薬剤量を計算するには防護区画の体積を正確に求める必要があります。体積は縦×横×高さで求めますが、次の点に注意が必要です。
- 防護区画に柱・梁・設備が入っている場合は、それらの体積を引くかどうか(通常は引かない・保守的な計算をする)
- 吹き抜け・二重床・二重天井がある場合は、実際に消火薬剤が充満する空間の体積を使う
- 問題文で体積が与えられている場合は与えられた数値をそのまま使う
局所放出方式が使われる場合
防護区画の密閉性が確保できない場合は、局所放出方式(防護対象物の周囲に直接噴射する)を使います。局所放出方式では防護区画全体の密閉性は不要ですが、防護対象物の各部分から1m以内に噴射ヘッドを配置する必要があります。
| 方式 | 使用条件 | 薬剤量計算の基準 |
|---|---|---|
| 全域放出方式 | 防護区画に一定の密閉性がある場合 | 防護区画体積×単位体積あたり薬剤量+開口部補正 |
| 局所放出方式 | 防護区画全体を密閉できない場合・特定の機器のみを防護する場合 | 防護対象物の表面積や周囲条件から計算 |
試験でよく出る防護区画の問題パターン
- 「全域放出方式で開口部がある場合はどうするか」→ 自動閉鎖装置で閉じるか開口部補正量を加算する
- 「換気装置はいつ停止させるか」→ 薬剤放射前に停止させる
- 「防護区画に自動閉鎖装置がない開口部がある場合の薬剤量計算」→ 開口部補正量を加算する
- 「局所放出方式が使われる場合はどのような場合か」→ 防護区画全体を密閉できない場合
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出典:消防法施行規則(防護区画の基準・全域放出方式の要件)・消防法施行令。
作成日:2026年11月5日

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