「介護LP」という言葉を、求人媒体の営業や、他の施設の採用担当者から聞いたことはありませんか。
なんとなく「採用のためのホームページ」というイメージはあっても、普通の採用ページやホームページと何が違うのか、正直よく分からないという方も多いと思います。
この記事では、介護LPとは何か、普通の採用ページとどう違うのか、そしてなぜ今、介護業界でこの言葉が使われるようになってきたのかを、順番に説明します。
なぜ今、介護業界で「LP」が注目されているのか
本題に入る前に、介護業界の採用がどれだけ厳しい状況にあるか、数字で確認しておきます。
厚生労働省の統計をもとにした2025年5月時点のデータでは、介護関係職種の有効求人倍率は3.41倍とされています。全職業の平均が1.31倍前後であることを踏まえると、2.5倍以上の水準ということになります。求職者1人に対して、3件以上の求人があるという状態です。
さらに厚生労働省は、2025年には全国で約32万人、2040年には約69万人の介護職員が不足すると推計しています。
これだけ「求人を出しても人が集まらない」状況が続くと、求人媒体に掲載するだけの採用活動では、応募が集まりにくくなっていきます。そこで注目され始めているのが、応募につながる自社の「顔」を持つという発想です。その手段の一つが、LP(ランディングページ)を使った採用です。
とくに、訪問介護の分野は状況がさらに深刻です。厚生労働省・介護労働安定センターの調査では、訪問介護員の有効求人倍率は14倍を超える水準とされています。14件の求人に対して、応募できる人が1人いるかどうか、という計算です。介護サービス職全体の中でも、訪問介護は突出して人材確保が難しい分野だといえます。
そもそも「LP」とは何か
LPとは、ランディングページの略で、もともとはWeb広告やマーケティングの世界で使われてきた言葉です。1つのテーマ・1つの目的のために作られた、縦に長い1ページだけのWebページを指します。
採用の場面で使う場合は「採用LP」と呼ばれ、介護業界向けに作られたものを、この記事では「介護LP」と呼んでいます。
普通のホームページのように、上部のメニューから別のページへ移動する構造ではなく、上から下へスクロールしながら、順番に情報を読み進めてもらうことを前提に作られています。
介護LPと、普通の採用ページの違い
「採用ページ」や「採用サイト」と呼ばれるものと、介護LPは何が違うのか。ここが一番分かりにくいところだと思うので、表で整理します。
| 項目 | 介護LP | 採用サイト |
|---|---|---|
| ページ構成 | 1ページに全情報を集約 | 会社紹介・募集要項など複数ページ |
| 読み方 | 上から順にスクロールして読む | 目的のページを自分で探して回遊する |
| 向いている相手 | まだ転職を迷っている人 | 既に応募意欲が高い人 |
| 制作期間・費用 | 比較的短期間・低コスト | 複数ページ分の時間・費用が必要 |
一番の違いは、「迷っている人の背中を押す」ことに向いているかどうかです。採用サイトは、既にその施設に興味を持っている人が、詳しい情報を調べに来る場所です。一方で介護LPは、まだ他の施設と比較検討している段階の人に対して、上から順番に情報を届けて、少しずつ気持ちを動かしていく作りになっています。
介護業界のように、求人自体は多いのに応募が集まらない状況では、後者の「まだ迷っている人」にどう届けるかが重要になります。
良い介護LPに入っている、5つの要素
ただページを1枚にすればいいというわけではありません。応募につながる介護LPには、共通する構成があります。
- ファーストビュー:ページを開いて最初に見える部分です。ここで「自分に関係がある」と思ってもらえなければ、その先を読んでもらえません
- 共感・課題提起:求職者が今感じている不安や悩みに寄り添う部分です。「今の職場に、こんな不満はありませんか」といった問いかけです
- 解決策・自社の強み:その施設ならではの働きやすさ、待遇、雰囲気などを具体的に伝える部分です
- 証拠・信頼性:スタッフの声、職場の写真、実際の1日の流れなど、リアルな情報です。ここが薄いと、良いことばかり書いてあるページに見えてしまいます
- 行動を促す部分(応募ボタンなど):気持ちが高まったタイミングで、迷わず応募できる導線です
この順番を意識して情報を並べることで、読み進めるうちに自然と「話を聞いてみようかな」という気持ちに近づいてもらう設計になっています。
正直に言っておきたい、介護LPの注意点
ここまで介護LPの良さを説明してきましたが、誤解してほしくないことが1つあります。
介護LPを作っただけで、自動的に応募が集まるわけではありません。
LPは、あくまで「求職者が訪れたときに、興味を持ってもらうための場所」です。そこに人を連れてくる部分(求人媒体への掲載、ハローワーク、紹介など)は、これまでどおり必要です。介護LPは、その入口から来た人を、応募までしっかりつなぎとめる役割を果たします。
また、内容が事実と違っていたり、良いことばかりを並べていたりすると、入職後のミスマッチにつながり、かえって早期離職の原因になります。実際の職場の姿を、正直に伝えることが、結果的に長く働いてくれる人材の採用につながります。
介護LPで、よくある失敗パターン
介護LPを作ったものの、思うように応募につながらない、というケースもあります。いくつか共通するパターンがあるので、紹介します。
失敗パターン1:施設の紹介だけで終わっている
設立年数や理念、サービス内容の説明だけで1ページが埋まってしまうケースです。これは、施設案内としては正しくても、「働く人」に向けた情報になっていません。求職者が知りたいのは、その施設が何をしているかより、そこで自分がどう働き、どう待遇されるかです。
失敗パターン2:良いことしか書いていない
「アットホームな職場です」「働きやすい環境です」といった言葉だけが並び、具体的な根拠が示されていないケースです。求職者は、こうした抽象的な表現に慣れています。スタッフの実際の声や、1日のスケジュール、有給の取得率など、具体的な事実を添えることで、初めて信頼してもらえます。
失敗パターン3:作って終わりになっている
介護LPは、公開した後も、求人媒体への掲載やSNSでの発信と組み合わせて、人に見てもらう工夫を続ける必要があります。作ったこと自体が目的になってしまうと、せっかくのページが誰の目にも触れないまま終わってしまいます。
よくある質問
Q. 介護LPは、どのくらいの期間で作れますか。
A. 内容や分量にもよりますが、通常のホームページ(複数ページ構成)に比べると、短期間で制作できることが多いです。目安として、数週間から1ヶ月程度で公開まで進められるケースが一般的です。
Q. 既にホームページがあっても、介護LPは必要ですか。
A. 既存のホームページが「施設の紹介」を目的としているなら、採用に特化した介護LPを別に用意する意味はあります。目的が違うページを1つで兼ねようとすると、どちらの役割も中途半端になりがちです。
Q. 職種によって、別々の介護LPを作るべきですか。
A. 訪問介護と施設勤務では、働き方も求められる人物像も異なります。1つのページに全職種を詰め込むより、職種ごとに分けた方が、それぞれの求職者に響く内容にしやすくなります。
まとめ
- 介護LPとは、応募につなげることを目的に作られた、縦に長い1ページのWebページです
- 採用サイトが「既に興味がある人」向けなのに対し、介護LPは「まだ迷っている人」の気持ちを動かすことに向いています
- 介護職の有効求人倍率は3.41倍(2025年5月・全職業平均の2.5倍以上)と、業界全体で人材確保が厳しい状況が続いています
- 良い介護LPには、ファーストビュー・共感・自社の強み・信頼性の証拠・行動喚起という5つの要素が揃っています
- LPを作るだけで応募が集まるわけではなく、事実に基づいた誠実な情報発信が前提になります
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※有効求人倍率・人材不足の推計は、厚生労働省が公表する統計データをもとにした2025年5月時点の情報です。地域や職種により数値は異なります。最新の状況は厚生労働省の発表をご確認ください。


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