結論:2割特例は2026年分(2027年3月の申告)で終わり、2027・2028年分は3割特例、2029年分からは特例がなくなります。軽貨物の運送は、簡易課税では第5種(みなし仕入率50%)です。税込売上600万円なら、納める消費税は年約10.9万円(2026年分)、約16.4万円(2027・2028年分)、約27.3万円(2029年分から・簡易課税)と増えていく計算です。2029年分は、2026年分の2.5倍になります(どれも試算)。
1. あなたの数字で試算する
※試算は、国と地方を合わせた消費税10%で計算した概算です。端数処理や、個別の事情(課税期間の短縮、高額な資産の購入など)は反映していません。
2. 委託元に「消費税分の上乗せ」を相談するシート
インボイスに登録して新しく消費税を納めることになったのに、委託元からの支払いが前と同じままなら、納める消費税の分だけ手取りが減ります。国は、この消費税分について「仕入先と明示的に協議することなく取引価格を据え置くこと」は問題となるおそれがあると、Q&Aではっきり書いています(下の原文を参照)。このシートは、委託元に話し合いをお願いするときに見せる資料を、あなた自身が作るためのものです。
シートの中身①相談のお願いの文例 ②この委託元との取引分で納める消費税の表(あなたの数字で自動作成) ③国の資料の原文(Q&A・取適法・フリーランス法) ④出典 ⑤自分用:話す順番のメモ(委託元には渡さない2枚目)
3. よくある質問
2割特例は、2026年分で終わります
個人事業者は2026年分(2026年1〜12月)が最後です。国税庁のインボイスQ&A(問115)は、2割特例の期間を「令和8年9月30日までの日の属する各課税期間」としていて、個人の課税期間は1〜12月なので、2026年分までとなります。2026年分の申告期限は2027年3月31日です。
3割特例は、2027年分と2028年分の2年だけです
国税庁の「令和8年度税制改正特集 3割特例」(PDF)は、「インボイス発行事業者の登録を受けたことにより免税事業者から課税事業者となった個人事業者に係る令和9年分・令和10年分の消費税の確定申告において納付税額を売上税額の3割とすることができる特例です。」と説明しています。主な条件は、2年前の課税売上高が1,000万円以下であることなどで、事前の届出は要らず、申告書に適用を受ける旨を書きます。
軽貨物の運送は、簡易課税では第5種(みなし仕入率50%)です
国税庁のタックスアンサー(No.6509)は、第5種事業(みなし仕入率50%)を「運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)」としています。建設業(第3種・70%)より率が低いので、3割特例が終わった2029年分からの増え方が大きくなります。簡易課税を使うには、2年前の課税売上高が5,000万円以下であることなどが条件で、原則として使う年の前の年までに届出が必要です(3割特例を使った翌年に移る場合は、申告期限までの届出で移れる措置があります)。
登録しないで免税のままなら、委託元の負担が少しずつ増えます
あなたが消費税を納めることはありません。ただし委託元は、あなたへの支払いに含まれる消費税を、少しずつ差し引けなくなります(2026年10月から70%、2028年10月から50%、2030年10月から30%、2031年10月から0%しか控除できない)。委託元の負担が増えるぶん、値下げや取引の見直しを求められることがあります。上の試算で「登録していない」を選ぶと、その額の目安を表示します。
フリーランス法や取適法が当てはまるかは、取引の中身で決まります
フリーランス法は、従業員を使わない個人などに業務を委託する場合の取引のルールです。あなたが従業員を使っていない場合、委託元は、報酬の額や支払期日などを書面かメールなどで示すことになっています(第3条)。委託元が従業員を使う事業者(法人なら、役員が2人以上いる場合も含みます)なら、報酬は原則として役務の提供を受けた日から60日以内に支払う決まりがあり(第4条)、一定の期間以上続く委託では、買いたたきや減額なども禁じられます(第5条)。取適法は、委託元の資本金や従業員の数、委託の中身によって当てはまる法律です。あなたの取引に当てはまるかどうかは、公正取引委員会などの相談窓口で確かめてください。
このシートを使っても、値上げが必ず通るわけではありません
国の資料は、話し合いを求める根拠になりますが、相手に値上げを強制するものではありません。アプリで単価が一律に決まっている仕事のように、個別の相談がしにくい取引もあります。このシートは、あなたが自分の名前で相談するための材料です。結果を約束するものではありません。